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ハイドロポンプが撃てなかった男の話。


※注意※
・この記事は、貴方の大切なポケモンの思い出を汚す可能性があります。
・この記事は
1998年7月18日公開「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」及び2017年7月15日公開「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」のネタバレが多大にあります。

どうも。はじめまして。
ツイッターでの僕を知ってる方は
既にご存知かもわからないけれども
僕は基本的に語りたい性分の人間で…
ツイッターでも毎回、
文字数の制限と日々悪戦苦闘しており、
やたらと文字数の多いツイートばかりが
タイムラインを埋めているという現状…

そんな僕が、
フォロワーさんのあるツイートを見て
急に文章が色々思い浮かんだので、
なんとなく書き起こしてみた。
そしたらこの量になってしまった(四千字オーバー)
誰得な自己満足で需要がないのは承知の上で
綴らせて欲しい。
SNSってそういう場だと思うから(言い訳)

先に断っておくと、僕はポケモンが大好きである。
人生の大半をポケモンと過ごしてきたと言っても、過言ではない。

小学生の時に初めてプレイした初代赤版から
スマホで出来るポケモンGOまで、
その時代ごとの何らかのポケモンに触れてきたつもりである
(やってないソフトや観てない作品が多少あるのは大目に見て欲しい。色々事情があるのだ)

その上で、あえて話そうと思う。



僕は、ポケモン映画で泣いた事がない。




……。
…………。
……………………。




えっと、
ちょっと待って欲しい。

オーケーオーケー、話し合おうじゃないか。まずはその物騒なブツを下ろしておくれよ。


今まさに、
号泣必須の不朽の名作をリメイクした
「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」
が絶賛上映中な最中、
何を言っているんだと思うかもしれない。

しょこたんこと中川翔子氏をはじめ、
数々の著名人が「ミュウツーの逆襲」の
思い出を語ってプレゼンしている中、
何のネガティヴキャンペーンかと思うかもしれない。

それでも石を投げないで欲しい。
僕は初代のサファリのポケモンではない。

「お前人間じゃねぇ!」
という声も聞こえる気がする(幻聴)

詳しくは後述するが、
正確には泣いた事が「なかった」である。

別に僕はポケモン映画で泣いた人を
ディスりたい訳ではない。


むしろ逆である。


あんな素敵な作品達なのに、
感動的なのに、
泣けないだとか、
「なんて心の貧しい人間だ」
軽蔑してもらって構わない。
自分でもちょっとどうかと思う。
不甲斐なささえもある。

説明?という程ではないが、
被告人の訴えを供述したいと思う。
長くなるが勘弁して欲しい。


まず、
自分が子供の頃に観たポケモン映画を
確認したいと思う。
僕が1番初めに観に行ったポケモン映画は、
やはり第1作目「ミュウツーの逆襲」だった。
そして第2作「幻のポケモン ルギア爆誕」
第3作「結晶塔の帝王 ENTEI」
ちょっと飛んで
第7作「裂空の訪問者 デオキシス」

この四つである。
「ポケモン好き」と言いながら、
映画館に足を運んで観たのは
たったこれだけなのである。
残りはテレビの再放送で観たり、
観なかったり。

まあ、
ポケモンのゲーム自体は新作が出る毎にやっていたし、
「千と千尋の神隠し」
「ハリー・ポッターと賢者の石」
「ダイナソー」などを観に
映画館に足は運んでいたので、
単純に(当時は)そそられなかったか、
他の映画に興味があったのであろう。

……。
少し話がそれてしまったので戻すとする。

一つ一つの映画のあらすじを
振り返っていても長くなりそうなので、
雑ではあるがまとめて評価したいと思う。

恐らくだが、感動は感動でも
僕はポケモン映画に「ワクワク」「ドキドキ」の方を
メインに求めて観ていたのではないかと思う。

ポケモンのバトルシーン、
新ポケモンの活躍っぷりなど、
話に込められたテーマよりも、
もっと単純な、
そういうシンプルなシーンで
盛り上がっていたのを何となく覚えている。

まあ詰まる所、
「お子様」だったのだろうと思う。

ルギア・エンテイ・デオキシスは
どちらかというと泣き映画ではないと思うので、
どうしてもミュウツーの話になってしまうのだが、
「ミュウツーの逆襲」の世間で「泣ける」と言われているシーンを挙げると、

・コピー同士が苦しみながら戦うシーン
(コピーピカチュウが泣きながらビンタしてるやつ)
・「同じ生き物同士、勝ち負けがあるわけ?」というカスミのセリフ周りのシーン
・ミュウとミュウツーの戦いを仲裁する為に、
サトシが攻撃に割り込んで石になってしまうシーン
・そのサトシを見て皆が涙するシーン
・小林幸子氏の歌う主題歌「風といっしょに」

辺りが泣きポイントだと思うのだけど、
あのシーン達も、
自分はなんとなく観ていた気がする。

「いい話だな」とは思う。
「感動的なんだな」とも思う。
でも涙は出ない。

もう20年以上前の事で、
記憶も定かではないのだけれど、
泣いていなかったのは間違いないと言えるし、
後で再放送や完全版などを観ても特に変わらなかった。

「映画館で他のお客さんもみんな泣いてた〜」
みたいなのをネットで見た事があるけど、
他のお客さんがどうだったなんか、
尚更覚えてない。
「のび太の結婚前夜」を観て、
親父が泣いてたのは覚えてる。
(妹が嫁に行く事を考えて感極まったらしい。妹は当時4歳)

ぶっちゃけ、ポケモン映画に限らず、
僕が子供時代に涙したのは
「痛くて」「辛くて」「悔しくて」
泣いた時ぐらいだと思ってて、
「物語を観て(読んで)」泣いたのは、
保育園の時に母に読んでもらった
「泣いた赤鬼」の童話ぐらいしか
記憶にないのである。

我ながら情緒が死んでいる、
捻くれた子供だったと思う。
情操教育もへったくれもない。

ところで、ポケモン界隈では割と有名なスラング(?)に
「目からハイドロポンプ」というフレーズがある。
何かポケモン界隈で、
感動出来るシーンが出て来たり、思い出話をする時によく使われるタグだ。
「涙腺崩壊」をポケモンの技でなぞらえた、
理にかなったフレーズだと思う。

そう、
ここでようやくタイトルの
「ハイドロポンプ」が登場する。
タイトルの
「ハイドロポンプが撃てなかった男」というのは
他でもない、僕の事だ。

泣けなかった自分としては、
ネットでこの言葉を見る度に
「何故僕はハイドロポンプを撃てなかったんだ…」と、
「すぐに進化してしまったラグラージ」のような気持ちで
いっぱいになるのである。

嘘である。
ちょっとそれは言い過ぎた。

しかもわかりにくい(ミズゴロウは45レベくらいでハイドロポンプを覚えるが、進化してしまってからだと覚えられないのだ)

でもまあ、
「世間で盛り上がってる輪の中に入れない疎外感」みたいなものは
間違いなく感じていた。
自分の好きなジャンルなのに。

ミュウツーに限らず、
この後に出てくるポケモン映画で
一般的に「泣ける」と言われている
「セレビィ」や「ジラーチ」も、
再放送等でチェックしたのだけれど、
自分は泣かなかった。

(個人的に「水の都の護神 ラティアスとラティオス」はもうMVPに入るくらい大好きで、
泣く泣かないと別にして
めちゃくちゃ語りたいんだけど、
それだけで記事書けるくらい長くなるので割愛)
うん、全くもって寂しい人間である。

だがそんな自分でも、
泣く事が出来たポケモン映画があったのだ。
いや、現れたのだ。

それが、
2017年7月15日に公開された
「キミにきめた!」である。

自分がポケモン映画を観に
映画館まで足を運んだのは
約13年ぶりという事になる。
(前述したように、デオキシスの映画以降の作品も、キッズステーション等での再放送でチェックする事はあったが…)

これは一緒にポケモンを観てくれる相手が
久々に出来た事と、
ポケモン映画20周年の作品だった事が
後押ししていると思う。
前評判もめちゃくちゃ良かったし。

…………。
いやホント、
自分でもびっくりするぐらい、
ボロッボロ泣いた。

冒頭でも述べたが、
僕はポケモンは好きだが全てを網羅している訳ではない。
ポケモンのアニメを第8話から見始めた自分としては、
サトシとピカチュウの出会いのシーンは
アニメ中の回想シーンや「電撃!ピカチュウ」の
コミックで知っていても、
リアルタイムで見た事がなかった。
そんな自分が初めてちゃんと観る、
2人のはじまりのシーンである。

全くサトシに懐かず、
反抗期な態度をとり続けるピカチュウに対し、
「キミはオレが嫌い?オレはキミが好きだよ」
と歩み寄ろうとするサトシ。

オニスズメの軍団に襲われ、
ズタボロのピカチュウを庇い、
「お前らなんかに負けない!皆纏めてゲットしてやる!さあ来い!」
と、身を呈して守ろうとするサトシ。

そのサトシの献身的な姿に、
まだオープニング前だと言うのに知らずと涙していた。
そこからはもう、
堤防が決壊したかのように涙ラッシュである。

ソウジのレントラーとの過去話に涙、
バタフリーとの別れに涙、
そしてクライマックスの、
ピカチュウが想いを伝えるシーンで涙…

涙、涙、涙、
もはや「ハイドロポンプ」を通り越して、
「ハイドロカノン」である。

世間であれだけ泣けると言われている
「ミュウツーの逆襲」で泣けなかった自分も、
こうやってちゃんと「ポケモン映画」で泣けたのだ。
(尤も、「キミにきめた!」の某シーンは
「ミュウツーの逆襲」のオマージュのような場面もあったが)

まあ何も、
「泣く事」だけがポケモン映画の楽しみ方ではない。
逆に、
「ミュウツーの逆襲」で泣いたけど、
「キミにきめた!」で泣いてないなんて人も
いるだろう。


それでも。
嬉しかったのだ。

自分の感情は、まだ死んでなかった。

そう思ったら、
なんだか報われた気がした。
「ハイドロポンプ」を撃てなかったラグラージは、
教え技で「ハイドロカノン」を習得したのだ。

なんで今までので泣けなくて、
これで急に泣けたのか。
ここまで書いときながら、
この記事の根本でありながら、
それは自分でもよくわからない。

…………。
すまない、
わかったから泥を投げるのをやめて欲しい。
僕はダイパ以降の
サファリのポケモンではない。

多分、
「感動するネタ」のベクトルが違うのだろう。
僕自身も大人になるに連れて、
色んな成功・挫折・出会い・別れを経て
心境の変化があったのだと思う。
少なくとも小学生の時よりかは。

そしてそんな男も、
今では2児の父親。

これを書いている段階で、現在2歳の息子も、
親の影響でポケモンが大好きである(かわいい)
特にピカチュウのぬいぐるみは、
どこに行く時も一緒で、
寝る時も離さない(とてもかわいい)
その彼も数年後には、
僕が初めてポケモン映画を観た歳と同じ歳になる。

その時に、
「ミュウツーの逆襲」なり、
上映中のポケモン映画なり、
是非是非一緒に観てみたいと思う。
彼はどんな反応をするのだろうか。
「ハイドロポンプ」は出すのだろうか。

今からとても楽しみである。



おわり。

(追記:ラグラージは攻撃の値が高いので、ハイドロカノンが採用される事はまずないとの事でした。
まああくまで例えやし。ポケモンGOなら強いし…)

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