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アンドロイド・イン・ワンダーランド

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5分で読める短編SFを掲載しています。 AIが管理する超管理社会の片隅でバーを経営するアンドロイド・アリス。そこが政府管理外区だからか、アリスの特殊能力のせいか、いつもバーには厄…
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#バー

怖い水

 海の果てから彼はやって来た。救命筏は早急に引き上げられ、彼は医務室に運ばれた。衰弱して…

kitaryuto775
3年前
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バトル ダンス ファミリー

「見ろ。面白い物を拾って来たぞ」  アリスのバーに意気揚々と駆け込んで来たゲン爺は、カウ…

kitaryuto775
3年前
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箱の中の親友

 老人は静かにやって来た。昔は似合っていただろうカシミアのコートが大きく見えるほど痩せて…

kitaryuto775
3年前
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記憶の幽霊

「裏切り者」  顔のはっきりしない男に電子パルス銃を向けたところで映像再生が途切れた。ア…

kitaryuto775
3年前
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ゾンビヘッド

「アンドロイドに意識転送している奴らの脳を盗む事件あっただろ。違法サーバーとして使うため…

kitaryuto775
3年前

レイヤーの幽霊

 夜の十時をまわってアリスの店は一人の客もいない。急ごしらえのカウンターバーには四つのス…

kitaryuto775
4年前
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Lovers

 彼らは転送エレベータのベルの音が響くとすぐ、なだれ込むように店に入ってきた。男が三人に女が一人。誰もが身体にピッタリのコンバットスーツをまとっているが、それは戦闘を意識したものではなく、人目を引くことを目的としてカラフルなカメレオン装飾を施し、時と共に色が変化して刺激的なロゴを表示させた。  男の一人は長身で痩せ型。目つきが鋭く威圧感がある。  次の男は肉体改造しているらしく、巨大な体躯でいかにも乱暴そうだ。  もう一人の男は小柄でずる賢そうな目をしていた。  そし

熟成の響き

 クジラの歌が聞こえる。暗く透明な水の奥から澄み渡った歌声が響く。彼らが何を歌っているの…

kitaryuto775
4年前
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完璧なウィスキー

 シヴァルは香りを楽しんだ後、氷をウィスキーグラスをの中で転がしながらその涼やかな音を楽…

kitaryuto775
4年前
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墓掘りの男

 男の名はストーンといった。背が高く痩せていていつもくすんだ色のフードを頭から被っていた…

kitaryuto775
4年前
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やんちゃなカクテル

 世界広しと言えど、彼ほど有名な男はそういない。それは額に3つ、うなじに3つの電子の目を…

kitaryuto775
4年前
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風変わりな殺し屋

 老婆はショットグラスのウィスキーをちびりちびりと舐めながら満足気に頷いた。 「こんな辺…

kitaryuto775
4年前
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海月と女

 その客がやって来た時、アリスは延々と続く無意味な会話に終止符が打たれることを知った。 …

kitaryuto775
4年前
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探偵さ

 ブライアント警部補はタバコに火を点けると大義そうに吸った煙を吐き出した。  古めかしいトレンチコートを羽織り、つば付き帽子を被る姿は百年前から刑事をやっていそうである。姿はもとよりその鋭い眼光も深いしわも全てが刑事然としている。この肉体改造全盛の時代に、遺伝子操作もせずにただひたすら己の頭脳だけを頼りに犯人を追う姿勢は刑事の鏡と言っていいのだが、ただ一つ難があるとすれば、ブライアントは性格が悪かった。 「一番目立つところに貼れって言ってるんだよ」  ブライアントがアリ