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blender 4.2 EEVEE NEXT グラスマテリアル設定

blender 4.2 から、EEVEE レンダリングエンジンに、2.0 あるいは NEXT と呼ばれる大きなアップデートがありました。

ガラス(グラス)マテリアルについても、設定が従来とはやや異なっています。比較的リアルなガラスマテリアルの作成について、かんたんにまとめました。

blender 4.0 4.1 EEVEE の設定については、下記事にまとめています。シーンはそのときのものとほぼ同じ。



環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4


テストシーン

床といくつかの小物を配置したシンプルなシーンを用意した。照明は、左からのエリアライト、および、HDRI による背景光のみ。

エリアライトは、サイズ 0.4 m パワー 40W。影を明確にするため、通常よりサイズを小さくしている。

背景(環境)光に使用した HDRI は、
PolyHaven から入手した brown_photostudio_02_4k.hdr

cycles


比較のため、まず、cycles のデフォルト設定でレンダリングを行った。

cycles

グラスマテリアルは、デフォルトの グラス BSDF。

伝播(Transmission)を 1.0 としたプリンシプル BSDF でも同じ


EEVEE


そのまま、EEVEE に切り替えてレンダリング。

レンダープロパティ レイトレーシング ON 解像度 1.1(必須ではない)

4.1 以前と同様、デフォルトでは、グラスマテリアルは正しく表示されない。


マテリアル設定

グラスのマテリアルプロパティ、設定 > サーフェス > レイトレース伝播(Raytraced Transmission) にチェックを入れる。

幅 「球(Sphere)」
幅 「厚みのある板(Slab)」

「幅」の値は、形状によって適しているオプションが異なり、板ガラスのような平面のオブジェクトは「厚みのある板」が適しているようだ。


マテリアル修正

EEVEE NEXT 新機能の「レイトレーシング」は、ガラスの屈折まで正しく処理できる段階ではないようで、右の板ガラス以外は、ガラスの表情がすこし不自然だ。
4.1 以前でも適用していたマテリアルノードの修正を加える。

右の板ガラスは上のまま。左、中央のコップは、プロパティ 幅 「球(Sphere)」
左、中央のコップのシェーダーノード。フレネル IOR 1.2

ノードの変更後、影の透過がやや不自然になったので、通常に影に変更。

グラスのマテリアルプロパティ 影を透過(Transparent Shadows) をOFF

比較的自然なグラス表現になった。このシェーダーでは、フレネルノードを利用し、反射率の高い周辺部分と、低い中央部分に異なるシェーダーを表示させ、擬似的にガラスを表現している。物理的には正しくない。

青のエリアはグラス BSDF、 赤は透過(Transparent)BSDFが適用される


結果


レンダリング結果。下は比較用の cycles によるレンダリング。 

EEVEE NEXT レンダリング時間 2 秒
cycles 。 レンダリング時間 22 秒

設定にもよるかと思うが、とくに左の CS の表現はいまひとつ。フェイク的なシェーダーなので、ガラスによる屈折も表現されていない。ただ、フォトリアルにこだわらなければ、実用的なレベルではないか。


まとめ


大幅なアップデートがあった EEVEE ですが、ガラスマテリアルに関しては大きな進展はなかったようで、リアルな質感については cycles にまだアドバンテージがあるようです。あるいは、細かな設定調整や、みせかたの工夫しだいになるかもしれません。参考まで。

普段みなれているガラスや水ですが、CGによる再現はわれわれが考えるよりもずっと複雑で、リアルタイムでは処理しきれない大量の計算が必要なのでしょう。



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