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暑くなり過ぎたら、眠れないから

恥を忍んで申し上げると、盲点だった。それは、こんなメールを頂戴したときのこと。

枕の高さを調整した際に、中に入れるプラスチックを抜いて、だいぶ余っている状況です。プラスチックを回収してリサイクルするような仕組みはありますでしょうか?あれば回収していただきたいです。(細かいプラスチックのため、破棄にあたり環境問題等が少し気になっています。)

もしそのような仕組みがなければ、今後ご検討いただけますでしょうか。お手数をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。

お客様の体形や寝具に合わせて、ご自身で枕の中材を出し入れしていただき、よい加減で眠っていただけることが理想であり、ラスト1マイルは、お客様に委ねている。その他のことは、これまでの長年の枕づくりの経験で、それぞれの身体に概ね合うようにお作りしているので、信頼していただき、難しく考えず、ご自身の直感で調整してほしい。

購入後の中材補充サービスも多くの利用者に喜んでいただいている。全体の5~7%くらい依頼がある。購入後すぐのときもあれば、購入時期を覚えていないこともある。また、ギフトでお使いいただくケースもある。購入店が分からないこともあるが原則、1回に限り、すべて受付させていただく。

当初、このようなやりとりができるなら、始めから補充用の中材を付けておいた方がよいのではないかという議論もあったが、コストのことがあるし、不要な人もいるだろうからを結論としてそうしなかった。そういった経緯があったのだが、今回、冒頭のメッセージは、改めて使い手のことを考えさせてもらった。

さっそく、中材補充サービスのページには、「不要な方は返送してください」とクレジットをいれさせていただき、件の方には、以下の通り、返信をした。

日ごろは、当社の枕をご愛用くださり、誠にありがとうございます 高さ調整いただき、お使い心地は良い具合になりましたでしょうか。

まず初めにご提案いただいた件についての回答ですが、もしご不要な中材がお手元にあるようでしたら、どうぞ当社までお送り下さい。未使用段階で取り出していただいたものであれば、再利用も検討いたします。

〒481-0038 北名古屋市徳重小崎16-2
株式会社Kitamura Japan
0568-23-0213

さて、環境のことが気になるという〇〇様のお気持ち、とてもよく理解できます。当社も、かねてより枕の中材の再生などを検討しておりますが、現状、燃料ペレットにする方法しかないようです。それでもやらないよりはよいように考えました。

ただ、それにも、かなりの物量が必要、かつ、それらを回収する方法と、産廃業者への物流コストも別途かかってきます。それらに対する時間と労力、さらにCO2排出の観点からすると、(逆効果かもしれない・・・)という疑念が生まれました。ですから、今はお住いの地域の基準に従っていただくことを推奨しております。

とはいえ、この問題については、「ずっと、これでよい」ということはなく、日進月歩で、新たな技術やサービスも生まれていくでしょう。メーカーとしては作る責任において、そういった情報を常にチェックし、必要であれば、躊躇なくアップデートしていきたいと考えています。

そして今回、〇〇様からご提案をいただき、これまでお客様にモヤモヤさせてしまっていたかもしれないことを反省し、今後はHPや配布物などに、そのような文言をクレジットしていくことを検討いたします。

長くなって申し訳ございません。改めてまして、お忙しいところ、ご連絡いただき、ありがとうございます 環境問題は、壮大な私事であると思いますが、〇〇様のアクションには、心から敬意を表すると共に、我々も気づいたときに、できることから始めよう、と襟を正していきます。

それでは誠にお手数ではございますが、中材については、お手すきの際にどうぞご返送ください。

さて、これだけで片付く課題ではない。

政府から2050年までに脱炭素社会を実現すると掲げられた。今一度、「ものを作る」ということの意味、会社が社会とどう折り合いをつけていくのかを考え、行動していこうと歩き出した。折を見て、お伝えしていきたい。発信も大事だから。

小さなイチメーカーがコチョコチョとやったとこで、たかが知れているのは百も承知ではあるが、それでも「快眠を届ける」というミッションの前にして、やはり見過ごすことはできない。

まくらのキタムラ
北村圭介

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