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のらねこ旅日記≪トランジット≫

  元同僚で、英会話ペラペラで個人旅行で海外にバンバン行っている人がいました。
    彼女はアメリカに行った時に、国内時差があることに気がつかず、乗り換えの飛行機をのり逃がしてしまいました。その後の便がなかったので、彼女は、自力でその日泊まる予定だったホテルにキャンセルの電話を入れ、レンタカーの予約を変更し、空港近くのホテルも確保しました。
  その話を聞いて、『英語力って大切よね』と、思った私は、当時流行っていた駅前留学に通ったものの、『しゃべれるようになれればいいな』ぐらいの、ふわっとした動機だったので、全然しゃべれるようになりませんでした。

  そんな私が海外で遭遇した空港トラブルのお話です。
   珍しく、お正月休みに仕事のシフトが入らなかったので、私は友達と2人で、
タイのプーケット島へ行くことにしました。
  タイまではJAL、その後はタイ航空の国内線に乗り換える行程で、タイの空港のカウンターで乗り換えのチケットを受け取り、7番ゲートでバスに乗って飛行機へ、と旅行会社の旅程表に書いてありました。
   タイに到着すると、私と友達は旅程表の通り、乗り換えカウンターに行きました。
   カウンタースタッフのおねえさんは、
プーケット島行きの国内線チケットに、ペンで7と書き、手振りで7番ゲートへ行くようにと指示しました。
   出発時刻まで40分位ありましたが、私たちは、階段を降りて7番ゲートへ向かいました。階段下には金属探知機のゲートがあり、そこを通って7番ゲートの待合所に入りました。
   ここまでは、旅程表の通りスムーズに来れました。
  が、壁の行き先表示板に『PHUKET』の文字が見つかりません。
  それでも、『まだ時間が早いから、そのうち出るのかな』なんて、思いながら、プラプラしていると、他の日本人観光客さんから、声をかけられました。
  若い美人姉妹?(お顔が似ていたので)さんで、自分たちのチケットを見せながら「私たち、乗り換えカウンターに寄らないで来たんですけど、大丈夫でしょうか?」と尋ねられました。
  チケットをみると、日本からプーケットまでタイ航空だったので、
「私たちは、JALからの乗り換えですけど、全部タイ航空だから、乗り換えカウンター寄らなくても大丈夫なんじゃないですか」と、答えると美人姉妹さんは、ほっとした様子で「ありがとうございました」と言いました。
  この時、改めて彼女たちのチケットに目をやった私は、あることに気がつきました。
『CHIANGMAI』
『チェンマイ?』
  壁の表示板にもCHIANGMAIはありましたが、PHUKETは、まだありません。
  いやな、予感がした私は、待合所カウンタースタッフのおねえさんに、自分のチケットを見せて
「PHUKET?」と尋ねました。
  すると、カウンターのおねえさんは、
「Oh!」と言うと、ペンでチケットの『7』にバッテンをして、『35』と書き込み、「Go! 」と言いました。
『えぇぇ~!7から35って!どこよ、それ!!』
  この時、出発時刻20分前。
  軽くパニックになりながら、私は慌てて友達を連れて、入口の金属探知機ゲートに向かいました。
その時、先ほどの美人姉妹さんが不安そうな顔でこちらを見ていることに気がつきました。
    しかし、説明している余裕がなかったので、
『あなたたちは、大丈夫だから!』と、そちらを向いて目で訴えながら立ち去りました。
(たぶん、伝わっていないです)
  金属探知機ゲートのスタッフさんに、チケットを見せて
「Where?」と尋ねると、スタッフさんは、「Up」と階段を指差し、ゲートのわきから出してくれました。
  階段を上がると、一番近くのゲートは、10番台でした。
  まっすぐな通路を私たちは、ゲートの番号の数字が大きくなる方へ走りました。
  通路がまっすぐだったので、迷うことはありませんでしたが、とにかく海外の国際空港は広い!
  ようやく20番台にたどり着いた頃、
「まだ15分以上あるから、大丈夫だよぉ」と、走るのがいやになった友達が言いました。
  しかし、私は
『いや、外国の飛行機は待ってくれないし、乗り遅れたら、その後のリカバリーは、私の英語力じゃ無理!』と、
走るのを止めませんでした。
(最後は、さすがに早歩きになっていましたが)
  そして、ようやくたどり着いた35番ゲートでは、残り20人くらいのお客さんが飛行機に乗り込むところでした。
  汗でドロドロ、ゼーゼーと肩で息をしながら、飛行機に乗り込んだ私と友達は、他のお客さんの目にどう映ったのでしょうか?
  どうやら、その日は空港の一部工事の関係で、乗り場が変更になっていたようですが、乗り換えカウンターのおねえさん!ちゃんと仕事してください。
  あの時、美人姉妹さんが、声をかけてくれなければ、たぶんとんでもないことになっていたと思います。
美人姉妹さん、こちらこそ、ありがとうございました。



  
  
 

  

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