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ナウマンゾウが教えてくれる

新年あけまして…」
 歴史にのこる暖冬がウソのようにコートが手ばなせなくなり、TVの旅番組では、富士山や日本アルプスの雪化粧が紹介されている。実は、明治期に日本の自然の美しさに驚き、その成り立ちを徒歩で探ったドイツの若者がいた。そして彼が名づけたのがフォッサマグナであり中央分離帯ともいう。皮肉なことに日本の四季を彩る山波は、地震の温床となりえる巨大な断層から成り立っていた。

 筆者が被災者の支援ボランティアへ参加したのは、北海道南西沖地震(1993)に始まり、熊本県球磨川の氾濫調査(2020)まで多岐にわたる。地震による津波や豪雨による洪水など、たった一度の自然災害が各地に傷跡を残し、そこで生活をされる方たちの日常を奪った。命までも…。

『法華経』譬諭品第三には、「爆声震裂(ばくしょうしんれつ)」との言葉が登場する。これを原爆投下の予言という人もいたが解釈は様々だ。しかし『大集経』の三災や日蓮聖人の『立正安国論』など天災や人災を暗示する教えもある。

 近年、当確丸印の天気予報や雨雲レーダーを信じる人は少なくない。つまり30年以内に地震が起こる確率が80%ならば、明日かもしれない災害にボーイ&ガールスカウトの合言葉である「そなえよつねに」を心がけたいものだ。

 実は、冒頭のフォッサマグナと名づけた青年は、エドムント・ナウマンという。どこかで耳にしたような…。彼が日本を旅する中で化石を発見し、彼の名を冠してナウマンゾウと名付けられた。この象は氷河期に生息していたが、当時の地球温暖化の影響で絶滅したともいわれている。きっと彼らにも家族がおり、空腹や死への恐怖を感じたのではないだろうか。熊たち親子が市街地にまで足をのばしたように。
 
 倒れゆく彼らを思い浮かべるとき、令和6年の夜明けを「…おめでとう」と迎えられるのは、どういう人たちだろうかと考えさせられる。
                              九拝 龍


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