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クライアントの分散は最小限にする

Webライターに限らず、フリーランスの過半数は「来月仕事があるかどうか」を少なからず気にしているように感じます。

2022年までは、クライアントワークをやっている人は複数社と契約して収益を分散させるほうがいいといわれてきました(少なくともWebライターの間では)。

しかし私は、AIが登場した今ではむしろ逆なのではないかと思っています。
「リスクを承知で集中させるべきだ」と。分散させるにしても3~5社くらいまでが理想です。

そう思った理由をお話します。

少額の契約なら簡単に置き換わる

ぶっちゃけ月20万円までの仕事なら、あなたより優秀なWebライターが登場したら一瞬で置き換わります。

月20万円の仕事があったAさんより、同じ単価で優秀なBさんが現れたとしたら、クライアントは速攻でBさんに契約を切り替えるでしょう。仮に単価が上がるとしても「Bさんなら間違いなく成果上がるな」って思ったら速攻で発注先を変更します。

守秘義務があるので話せませんが、クライアントは間違いなく「自社メディアにとってプラスになる人」を囲い込もうとしています。要するに、本当に囲い込みたい人には他のクライアントに浮気してほしくないんですよね。

このあたりの温度感は、普通にMTGやチャットをしていたら、数か月以内にわかります。

こちらとしてもクライアントとは長くお付き合いしたいし、失望されて発注量減少、または解約なんてことには遭いたくないので「御社のお仕事を最優先します!」といって質が担保できる限界まで受けます。

こういうスタンスを取っていくと、必然的に発注量が多い大手メディア様からのお仕事が一番多くなるんですよね。ちょっとここでは請求書の金額をいえないくらい集中します。

そのほうがクライアントの求めるものがわかりやすいし、クライアントとしても意思疎通しやすいと思うんですよね。深い関係性で毎月数十本の構成作成or修正+ライティング+リライトまで受けていたら、突然契約がなくなる可能性は低いです。

分散しすぎると効率も質も悪くなる

分散すればするほど、「成果物の提出」以外の業務が雪だるま式に増えます。クライアントを増やせば増やすほど効率が悪くなり、質も悪くなるでしょう。契約が続かない原因にもなるので営業の時間がどんどん増えて、結果としては毎月の給料が一切保障されない「会社員の劣化版」になります。

成果物の提出以外に想定しておかなければいけない業務は以下の通り。

✔クライアントとのコミュニケーション
✔納期に合わせた計画の策定
✔クライアントのルール把握
✔提出物の修正

Webライティングの場合、同じ言葉でもクライアントによって「子供」「子ども」などと表記ルールが異なります。提出方法や文字の大きさ・フォントもクライアントによってバラバラです。

コミュニケーションツールはチャットワーク(Chatwork)、スラック(Slack)が主ですが、なかには専用のメールアドレスで重要な連絡をするクライアントもあります。

私としては、分散させるにしても以下が限界です。

✔クライアントは5社まで
✔コミュニケーションツールは2種類まで

副業の人は3社くらいまで、コミュニケーションツールも可能な限り1つに絞るのが無難です。

※私は副業Webライターのときに4社抱えたら、平日納期の仕事だらけになって稼働時間が1日16時間(本業+副業)になったことがありました。マジで死にそうになります。

切られやすいクライアントが増える懸念も

契約を切られることを恐れて分散すると、切られやすいクライアントも増える可能性があります。「切られやすい」とは、あなたの責任ではない理由で玉突き事故のように契約が切られることをいいます。

特に記事制作会社(ディレクター)と契約する場合は、注意が必要です。Webライターが記事制作会社と契約すると、以下のような構造になります。

メディア運営企業(エンドクライアント)
 ↓
記事制作会社(ディレクター)
 ↓
Webライター

これは他の業界でもよくある下請け構造です。下請け構造が悪いわけではありませんし、記事制作会社(ディレクター)は質を担保するために重要な役割を果たしています。

ただし、「エンドクライアントの運営サイトがわからない」または「サイトは知っているけどエンドクライアントの人柄も考え方も全くわからない」状態で仕事をしていると、ほぼ100%の確率で突然契約が切られます
(確率については私の感覚値)

なかには、「次回もぜひよろしくお願いします!」のメッセージがきたのにそこから一切連絡なし、なんてことも(汗)。

ここからは推測でしかありませんが、エンドクライアントが記事制作会社との契約を切った可能性が高いです。エンドクライアントからすれば質が担保できていない会社と契約する意味はないので、仕方ありません。

書いた人によって質がバラバラでWebライター頼みになっている記事制作会社だと、エンドクライアントからすれば「それなら自分から直接Webライターと契約するわ」って考えにもなるでしょう。

この場合はWebライターに責任があるというより、記事制作会社に責任があるといえます。つまり、記事制作会社の責任で質としては全く問題ないWebライターもまとめて契約が切られてしまうのです。

きちんとクライアントを見極めて分散できるなら構いませんが…そこまで器用な自信がないなら、無理に手を広げるべきではないと思います。

※一方で、信頼できる記事制作会社(ディレクター)とは深くつながっておいた方がいろいろとメリットがあります。一概に記事制作会社はダメとか悪だとかいうつもりは一切ありません。

そんなに切られるのが怖いならフリーランスにはならないほうがいい

・・・と思いませんか?だって、副業なら少なくとも会社員の給料は入ってくるのですから。フリーランス(自由な槍=傭兵)は弱肉強食の世界です。

私を含めて、同業者同士はお互い競争相手でもあることを忘れてはいけません。面と向かって競争していなかったとしても、見えないところで仕事の奪い合いをしています。

「同業者=仲間」といったスタンスで片づけたい人もいるかもしれませんが、残念ながら仲間と同時にライバルです。

個人差はありますが、フリーランスは自分の生活がかかっています。仕事を失うことが自分の生活そのものを脅かす可能性もあります。きれいごとばかり言ってられない事情もあるでしょう。

どう頑張って分散しても、同じ種類の仕事なら分散にはなっていません。「分散投資」といって三菱UFJ、三井住友、みずほの株を買ってもほとんど分散になっていないのと同じことです。

そんなに契約が切られるのが怖いならフリーランスはおすすめしないし、会社員+副業のままでいたほうが幸せだ…とも思います。


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