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英語科教員の良いところと大変なところ

1.良いところ

>1-1.英語ばかり教えることができる

英語の教員は英語ばかり教えることができます。
なにを当たり前な、と思うかもしれません。

ですが、例えば理科の教員であれば、「生物」で採用されたにも関わらず「化学」や「物理」の授業を任されることもありふれた話です。 また、例えば社会の教員であれば、「世界史」が専門なのに「日本史」や「地理」、「倫理」を教えるなんてことはざらです。

もっと悲惨なのが農業の先生です。
農業の教科として「畜産」「食品加工」「園芸」などがあります。
つまり、牛を育てるプロフェッショナルが、味噌をつくったり、花を育てたりすることを教えるハメになるんです。

こうした教科の先生は大変です。自分が習ったことのない教科を教えるからです。そうした先生方は、余暇を利用して教科書や参考書を開いて勉強しているそうです。

その点、英語の教員は英語ばかりしていればよいので、とっても幸せなんですね。

>1-2.常に英語に触れていられる

日本という国のすごいところは、日常生活はもちろん大学まで全て日本語で完結することができるということです。
そんな世界でも珍しい恵まれた国日本において、英語に常日頃から接することはたいへん難しいです。

ところが、英語の教員は必然的に毎日英語に触れることができます。
英語学習者にとって恵まれた環境ですよね。

>1-3.教材の内容が面白い

英語の授業においては、対話文や文章を扱いますが、これらが面白い

教科書に採択される文章は、科学技術人文科学など様々な内容の、最新のものを取り扱っています。
さらには、入試や模試の長文は、ちょっとマニアックで面白い雑学の知識がたくさん。
色んなことを知れる、大変お得で面白い教科です。

>1-4.どんどん新しい教授法に挑戦できる

英語は世界的に研究が盛んな研究対象です。
英文法や英語習得、指導法まで目まぐるしい発展が見られます。
なので、どんどん新しい教授法を取り入れるよう、教育委員会から研修において指導されます。

これが非常に楽しい
どんなに楽しいことでも、同じことを繰り返していると飽きますよね。
そういう飽き性、あるいは新しもの好きな私のような人間にとって、どんどん新しいことに挑戦できる英語科は、けっして退屈しない素敵な教科です。

2.大変なところ

>2-1.教材研究が大変

1-3の裏返しになりますが、どんどん教科書の内容が変わっていくので、教材研究が大変です。
教科書改訂の度に文章が変わるのはもちろん、学校によって使用している教科書が異なるので、転勤の度に教材研究をし直すことになります。気が付けば「毎年扱う文章が違うよ!」という状況に。

一方、数学や国語の先生は、ほぼ同じ教材を使い続けています。
ベテランの数学・国語の先生が教材研究をしているところなんて見たことありません……。

>2-2.どんどん教授法をアップデートしないといけない

1-4の裏返しになりますが、研究が盛んな「英語」という科目は、年々教授法がアップデートされていきます。

例えば、私が学生の頃にはひたすら文法を習って和訳する「文法読訳式」の授業が主流でしたが、今は生徒同士で活動する「アクティブラーニング」が推奨されています。
昔は、「英語」とは文法を修めてガツガツ和訳していく教科でした。ですが今は、自分の考えを相手に伝えたり話し合ったりする教科になりつつあります。180度の方向転換ですから、一大変革です。
こうした劇的な変化は、これからもきっと何度も起こるでしょう。

そうした変化についていくことのできる柔軟さ、素直さ、勤勉さが英語科の教員には求められます。
もちろん他教科もそうなのですが、それにしても英語科は特に変化が大きいように思います。

>2-3.考査や入試の採点が大変

英語は文章を書く教科です。
ハッキリした正解と、ハッキリした不正解。その間のグレーゾーンが幅広くあります
つまり、正解にするか不正解にするか、はたまた部分点を与えるか。部分点を与えるにしても、どういう基準で何点を与えるか。ということを問題ごとに決めなければなりません。
実際、入試の採点は「よーいドン!」で各教科一斉に採点を始めるのですが、ドベになるのはいつも英語科か国語科です(笑)。

>2-4.業務が多い

2-1で述べたように英語は教材研究が大変です。
さらには、生徒に与えるプリントやスライド、音声教材など準備物が多い教科です。

加えて、英語科は授業外の仕事も盛りだくさん
ALTのお世話や、実用英語検定やTOEIC、GETCといった検定の指導・実施
イベント事も目白押し。休日に泊まりがけで国際交流をしながら英語の勉強をする「英語キャンプ」や、地域の外国人や海外の学校との交流事業英語の弁論大会ディベート大会の指導など、様々な業務があります。

普通科では英語科が一番忙しい。そのように私は思います。

3.まとめ

英語科はたくさん良いところと大変なところがあります。
ですが、私が英語科の教員をしていて思うのは、英語を仕事にできて楽しい! ということです。

「やりたくない業務がたくさんある」というのは、すべての職業に共通することですよね。
けれども、慣れればどの業務も問題なくこなすことができますし、なんといっても英語と関りがある業務です。

「英語の教員」というのは、好きな英語を仕事にできる素敵な職業だと思います。


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