ドラマツルギーとMMOプレイヤーの後ろめたさ
アーヴィング・ゴフマンの社会学のことを、ドラマツルギー(演劇論的社会学)と呼びます。
名前の響きが日本人的な感覚からすると、めちゃくちゃカッコいいですね。
このあいだLastGrace2というフリーゲームが出たのでプレイしていました。
10年前に出た前作が記憶に残っていて、作者が同じならまた楽しめるだろうと考えたからです。
子供の時に誕生日プレゼントに買ってもらったゲームは、その日はちょっと遅くまでプレイしても良い。そういったルールを思い出したくらい熱中しました。
それを友人に話したところ、友人がなんて言ったかというと
「市販のゲームをやれよ」と。
どうやら彼にとってフリーゲームをするのは、格好悪いといった意識があるようなのでした。
つまり
・友人はフリーゲームをすることに居心地の悪さを感じる
・私は気にしない
別にどちらでも構わなくって、感じ方は人それぞれ。価値観が違うだけです。
そこで頭に浮かんだのは、その友人とは昔一緒にMMOをしていたのですが、言われてみれば確かに、ゲーム内で元気がない人はたくさんいたと。
そんなことを思い出したのです。
MMOで元気がない人
私と友人は、MMO内では随分と元気なタイプでした。
知らないプレイヤーにどんどん声をかけて、どんどんゲームを進めていき、5ch(当時2ch)では何も恥じることなくデカい顔をしていた。
それはMMOをしていることに、後ろめたさが全くなかったからなんですけど、今思えばそういったプレイヤーは少数派でした。
どちらかと言えば、元気がない人が多かった。
一般的な感覚で考えてみましょう。
毎日何時間もMMOをしている人についてです。
・まともな人間じゃない
・人生の落伍者
・暇そうで羨ましい
・将来設計がない
・自暴自棄
こういった感想を抱くのが、一般的ではないでしょうか?
今はMMOが廃れているのでわかりませんが、当時はこのような偏見があった。
※ 英○郎さんも殺されたしな……
もちろん直接本人に言ったりはしませんけれど、こういったイメージを持っている。
私と友人はMMOに熱中しており、まさに「やりたいからやる」といった状態だったので、後ろめたさを感じていませんでした。
見るために生まれ、見ることを務めとする
私と友人は、ファウストに出てくる塔守りのリュンコイスのようでありました。
元気がないプレイヤーは反対に、プレイ中は後ろめたさを感じている。
差別や偏見のことをスティグマという
次のセリフは褒めているでしょうか? けなしているでしょうか?
「きみVtuberに投げ銭してそうだよね」
とつぜん他人にこんなことを言われたら、喧嘩を売られていると思うでしょう。そして実際に喧嘩を売られています。
Vtuberの配信を見る人にはネガティブなイメージが多いですが、実際に配信に張り付いている人は気にしません。
見たいから見ている、投げ銭したいからしている。
配信を見ている自分をネガティブに見てしまうと、楽しく見れなくなる。または全く見れなくなります。
ネガティブな心のつぶやきを無視して何かをし続けるのは、苦行だからです。
続けるだけでも難しく、楽しんでやるのは至難の業、まともな人間には無理でしょう。
問題は差別や偏見を自分に向けてしまう
他人が以下のことをしていても気にしない
・毎日MMOをプレイしている
・毎日Vtuber配信を見ている
・毎日Youtubeを見ている
・毎日テレビを見ている
・毎日寝る前にポテトチップスを食べている
・毎日タバコを吸っている
女性は自分がタバコを吸っていることを隠す人が多い。
小さい頃は全然わかりませんでしたが、「女性のタバコはイメージが悪い」と、女性自身が思っていることが多いからです。
でも実際女性がタバコを吸っていることに対して、人間がどう思うかというと、「そうなんだ」で終わり。
しかしこういった本人のみ気にしている後ろめたさ、誰にでも少なからずあります。
自分に偏見を向けてしまうと出会いが気まずくなる
自分に偏見を向けてしまうことを、「自分をスティグマ化する」なんていいます。
MMOの話に戻りますと、「MMOをしている自分は落伍者だ」なんて思っていると、他のプレイヤーとのコミュニケーションや出会いが非常に気まずくなる。
当時の自分は「MMOしているヤツは卑屈なヤツが多い」と考えていたのですが、彼らはまともな感覚を持っていただけだったのです。
私はあまりに熱中していたものですから、「MMOをそんなに熱心にプレイしているなんて、どうかしてるよ」と、無粋な一般論を言ってくる人がいなかったのでしょう。
スティグマ化を防ぐ方法
スティグマ化を防ぐには、何事もハッキリと突き詰めないこと。
寛容さが大事とされています。
ゲーマーの場合は、夢中になること、熱中することがスティグマ化を防いでいる。
そう考えるとゲーマーという人種は、普通の人よりもだいぶ集中力が高いのかもしれません。
終わりに
人間は1日に5万回くらい独り言を言うというか、考えるらしいです。
なのでマイナスの独り言はコントロール、もしくは対処する必要があるのだと。
何故人によってマイナスの独り言が多いのか、その心理学の本には書かれていなかったですが、ドラマツルギー的に言えば、自分に偏見を向けているからとなります。
冒頭でも言いましたが、ドラマツルギーって言葉の響きがカッコいい。
最後に
のリンクを貼っておきます。