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Y先生へのメッセージと指導の希望文書

※ここにアップロードするために、微細な校閲らしき事をしています。


この2018年から東京23区を撮り続けていますが、これらをA4でプリントするのには、僕にとって相当の財力も必要になります。ディティールが見えないと価値が半減するのが僕の写真だからです。

キャビネサイズでは、かなりきついと考えています。

撮影は継続中です。一日あたりの撮影数は僕の場合は少ないと思いますが、それでもそれなりの枚数になると思います。もし、キャビネでも良いのでしたら先生には見ていただきたい写真がたくさんあります。A4にするには、インクと用紙のコストがかなり厳しいです。

恐らく、100枚、200枚に自ら納める事も、事実上難しいと思います。
一度まとめて、総括をして撮影活動を同じ23区でも次のステージに登る事については、僕も考えつつ答えを未だに見出していません。

しかし、今の状態で一時的に出版する事や国内写真界にPRするつもりがないのは事実です。あくまで国際的なマーケットやその次の段階を目指す為に、一度まとめる。というスタンドであれば、先生のご提案に賛同します。ご指導いただけることはありがたい事です。

結論から申しますと、日本の景観という独自のモチーフを使いながら(しかしインド以東のアジア圏を含んだ普遍性をもったものとして)、国際的な価値やマーケットにアプローチする事が、僕の最初の到達点です。その後、うまく行けばよいのですが、究極には作品の価値自体をオープンソース化する事です。

例えば、音楽の世界では楽曲が一定の手続きのもと、他の歌い手や演奏者が譜面を使用します。良い価値や提案ならば、そうあるのが理想だと考えています。
また、ビジネスの世界ですら、パソコンの歴史を見るとご存知の通り、昔はNECとEPSONの寡占状態だった日本のマーケットでしたが、同じWindows採用機でも、ライセンスを所有していたIBMが規格をオープンソース化した事によって、マーケット自体が拡大して「世界のインフラ」になりました。それがなければ、「世界のインフラ」にはならなかったと思います。

「インフラを生成したものは、世界の価値を変える事ができるはずです」

つまり、写真も同じです。スマホが先を走っていますが、その先はスマホやカメラで撮影した「ひとコマ」の扱いを如何にするか?という事を想定しなければならなくなりました。
生成AIでは、その「ひとコマ」がクラウドに大量に蓄積された結果、イメージングは大きく転換期を迎えています。これは情緒や感情では如何にもならないはずです。なぜなら、新自由主義と資本主義というのは、人間の欲望を歯止めなく拡張し続ける仕組みですから。そして成長を前提としているので、地球上の資源を食い尽くしていきます。

資本主義社会の中で、マーケットの概念を利用しながら、「テクノロジー」一辺倒の社会構造に「アート(アルス)」を再定義して「テクノロジー」を、「アート」の範疇にリパッケージするためには、オープンソース化は避けられないと考えています。

そういった事で、未来が行き止まりである事は、現状を見るに明らかですので、それにアプローチしていくのが、我々の世代以降の「写真をするもの」「アートをするもの」の「仕事」だと思っています。それは一時的な方便として「ビジネス」を経由する事になりますが、写真をするものが「ビジネスをゴール」にしてしまっては、新自由主義経済と同じ結末でしょう。それはSFで云うなら「ブレードランナー2049」と似たような事です。※初代のブレードランナーではありません。あれは、娯楽の域を出ていませんから。

そういう、覚悟を以て僕は写真に臨んでいるつもりです。ですから、今までの文脈のみでは写真を続けられないという事なのです。

ともあれ、一度立ち止まる必要があるのは先生の仰る通りと考えていますので、機会があれば是非、ご指導くださいませ。喜多研一

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