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OPEN DISCUSSION.01


OPEN DISCUSSIONは、金沢工業大学にある五十嵐威暢アーカイブで開催されるラーニングプログラムのひとつです。アーカイブのスタッフがファシリテーターとなり、毎回異なるテーマに対し参加者が様々に意見を交わします。

第1回目のテーマは、「トイレのピクトグラムについて話そう」です。今回のディスカッションは、「ピクトグラムって何?」というスタッフの問いかけから始まりました。参加学生が各々少し考えているなか、1人の学生から「2020年の東京オリンピックの開会式の演出で用いられていた」との答えが。実際にその動画を全員で視聴しました。1964年に開催されたオリンピックは、ピクトグラムが世界中で使われるきっかけとなったといわれています。そのことに触れながら、ピクトグラムが私たちの生活でどのような役割を持っているか考えました。「公共施設等にある、全ての人に分かるように用いられている図のようなもの」、「文字を使わなくても相手に言いたいことを伝える為のもの」といった答えが挙がりました。ピクトグラムが便利だと思う場面についても考え、その例としてすぐに挙がったのが「非常口のマーク」。また、道路の標識もピクトグラムと同様に視認性が高く、分かりやすいデザインの代表例として考えられる、という興味深い観点からの意見も。

テーマについて参加者同士様々な言葉を交わしていくなか、最もディスカッションが盛んになったのが、広島市現代美術館に採用されているトイレのピクトグラム についてです。広島市現代美術館では、従来の性別を表すシンボルに囚われない色や形をもとにデザインされた新たなマークが採用されています。しかし、男性と女性の区別が付きにくく、参加者の中でもどちらが男性でどちらか女性か、意見が分かれていました。美術館側が何故このようなデザインにしたのか考えを巡らせた後も、「男性と女性に対する固定概念を覆すキッカケとしては良い問いかけであるとは思うが、それをトイレでやる必要があるのか?」という疑問を抱く学生もちらほら…。最終的に、「トイレを示す良いピクトグラムとは、男女の区別が付きやすいデザインであること」が、参加学生の総意として挙げられました。トイレに限らず、多くの人が利用する場や急を要する場合には、“分かりやすさ”と“表現におけるデザイン”の両立が難しい事を実感しました。

議論の後半では、「金工大にオールジェンダートイレは導入するべきか」、そして「金工大の全てがオールジェンダートイレだったらどうするか」という議題のもと、ジェンダー問題について考えを深めていました。「ジェンダーレスやマイノリティへの配慮として存在はしていても良いと思う」といった意見が出た一方、女子学生からは「全部のトイレがオールジェンダーとなると、正直使いたくない」といった意見が上がりました。また、「犯罪が増えそう」や「トイレという機能面を考えると導入しない方が良い」といった懸念の声も上がり、身近な公共施設におけるジェンダー表現の在り方と、その難しさを考える時間となりました。

 記念すべき第1回目の開催となった今回のOPEN DISCUSSIONでは、トイレのピクトグラムから、現代におけるジェンダー問題や、本当の意味で”良い”デザインについて自らの価値観を見つめ直すと同時に、自他の考えを通して、社会で当然とされている前提の輪郭に気付く時間が創造されました。

また次回のディスカッションも楽しみです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 

(本投稿は、議事録を担当した学生スタッフによって執筆されました)



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