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弱小吹奏楽部を追いかけた軌跡 第10話 顧問の先生から突然の電話

ようやく自分の楽器を手に入れて、自宅で遠慮なく練習できる環境が整備された娘。
しかし学校から帰ってきても、これといって練習する様子はない。部活で吹いてくるので、その日の練習内容次第では家で練習を継続するような時もたまにある。自ら積極的に練習するような光景はあまり見られない。

父『家でも練習して構わないよ。』
娘『部活で全力の練習をしているから、家ではゆっくりさせて!』

家ではインターネットで動画三昧。まあ、現代の子供達にとっては自然なことなのかもしれない。本当にコンクールやアンコンで上位大会進出という目標を果たせるのか・・

ある日、突然顧問の先生から電話があった。

先生『いや〜今日は娘さんが部活中に泣いてしまいまして💦 家に帰ったらフォローをお願いしたいんです』

私『何かあったのですか?!』

先生『今日は夏の吹奏楽コンクールのオーディションを行なったのですが、クラリネットの1st・2nd・3rdをそれぞれ決定しまして・・、娘さんは2ndに決まったんです。それが納得いかなかったようで』

私『あまり練習していないので、当然だと思います。最近調子に乗っていたので、ちょうど良いと思います。こんなことでわざわざ連絡まで頂き、お気遣いありがとうございます。』

先生『いやいや、調子に乗ってもらわないと困るんです。どうかフォローだけお願い致します。それでは。』

1stだから上手とか2ndだから少し劣るなんていう考えは正確ではない。ただし上下関係のハッキリしている吹奏楽部中学生にとっては、大きな問題らしい。
『一つ上の先輩よりも上手に演奏できなければ、そもそも目標の達成などできないし、センスがないとみて辞めてしまえ』
こんな言葉を娘に投げかけていた笑
私も親としてどうかしている。

娘が家に帰ってきた。
私『今日の部活どうだった?先生から心配の電話があったぞ!』
娘『あ〜、それな。』

それ以上の会話は無し。
この日以降、娘は必死で練習に取り組むようになった。そして一つ上の先輩クラリネットはどんどん演奏が上手くなっていった。
まさに狙い通りの展開だ。

娘の涙はフルートやサックスといった木管楽器のメンバーにも波及していた。
万年なあなあで過ごしてきた弱小吹奏楽部に、新しい風が吹いてきた。
一生懸命練習して上手に演奏すること。そして本気で悔しがり、本気で喜ぶ。
まさに青春そのものです。

娘に言った
『もし先輩から何か変な後ろ向きなことを言われたり、いじめられたらパパに言え。』
私も完全を火がついて🔥いたので、全ての抵抗勢力にたいして敵意剥き出しの姿勢で臨むことにした。

心配は無用だったようで、みんな一丸となり夏のコンクールへ向けて動き出してくれた。顧問の先生も大変だったと思う。
先生・子供達・保護者が一つの方向を向いて動き出した。

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