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【戯曲】MESSAGE


 

■登場人物

○過去のある花火師/玉守 圭三(たまもり けいぞう)

創作花火で過去何百もの花火大会を華々しく飾り、数ある栄誉を総なめにした伝説の花火師。しかし、自身の工場で出火事故を起こし、それをきっかけに行方不明となった。記憶を失っているものの、花火作りについては覚えており、吉乃に指導を始める。吉乃の父、鍵岡名人とは知り合いらしい。

○新米花火師/鍵岡 吉乃 (かぎおか よしの)

上名木村で生まれ育った。父である鍵岡名人は花火師としてこの村の花火大会を一手に担ってきた。村にとっては偉大な人物であり、吉乃の誇りでもあったが、花火大会を前に急に倒れてしまう。小さい頃から花火と共に生きてきたため、その情熱には並々ならぬものがある。花火を打ち上げるための資格はとっているが、父の手伝い程度で実際には打ち上げたことがない。玉守の弟子になり、父の代わりに初舞台を踏む。

○上名木村村長/笠原 花恵 (かさはら はなえ)
例年、開催されてきたメッセージ花火の大会を企画運営している女性村長。前村長である夫は既に他界。突然の花火師不在に困り果てている。また、一人息子が目の病であと一ヶ月で失明してしまうという悲劇にも見舞われる。息子のためにも花火大会を何としても開催したいと思っている。

○村の青年団/笠原 信之 (かさはら のぶゆき)
村長の息子にして村の青年団団長。村で行なわれる行事の運営などの指揮をとっている。自分が担当でない祭りにも自ら手伝いに出動するなど、無類の祭り好き。何に対しても熱く、エネルギーに満ち満ちている。元はスキージャンプで国体に出るほどの実力だったが、事故で足を負傷し、二度とジャンプができなくなってしまったという過去がある。一度は自殺も考えたことがあったが、ある事をきっかけに立ち直る。それ以来は、何事もあきらめないように戒めている。通称ノブさん。

○隣町の議員/川崎 歩美 (かわさき あゆみ)
隣町の科野山町の議員をしている。現村長笠原を追い落とし、上名木村の吸収合併政策を進めようとしている。目的は花火大会による地域復興である。なかなか首を縦に振らない笠原に迫る。怪しい行動が多い謎の人物。

○観光客?/金森 弓子 (かなもり ゆみこ)
花火大会を楽しみにしている一見普通の女性。本人曰く花火の観光ツアーでやってきた。

○村議会議員/佐々木  (ささき)
生まれは関西だが、花火の大ファンで、ついに上名木村へ移住してきてしまった。親しみ易いキャラクターで地元民でないと受け入れられない村議会議員に当選。上名木村のために働いている。

○花火記者/京野 (きょうの)
日越新聞社の記者。毎年上名木町の花火大会を記事にしている。郷土史や上名木村や周辺の事情などにも精通しており、本編の補足をしていく。

○アナウンサー
会場アナウンス、花火大会の進行役

■開幕

シーンⅠ

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