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アフターコロナでも”シタウケ”を続けますか? 〈イノベーション〉としての外国人雇用① ハジメニとしてのヒサクシュの連鎖

給料不払い、殺人的長時間労働、セクハラ・・・

技能実習生への日本企業の過酷な扱いをニュースで聞いたことがある人も多いと思います。

「サクシュだ❗️」
「日本企業は、なんて悪いんだ❗️」
「社長❗️出てこーい❗️」

と憤りたくもなる人もいるかもしれません。

ただ、ここで皆さんに、少し考えてもらいたいことがあります(ここから、技能実習生を使っている日本企業を「実習先企業」といいます)

「実習先を糾弾したとしても、本当にこの状況はカイゼンされるのか

確かに、実習先企業へ過酷な扱いは、糾弾されるべきものです。
これらの実習先企業の行為に正当化できる事情は一切ありません。
しかしながら、〈“実習先企業への糾弾“=カイゼン〉という図式は成立するのか。
私は、それには大いにギモンがあります。

ギモンの源泉

そもそも、日本企業が、技能実習生を使っている理由はなんでしょうか。
建前としては「日本の優れた技術を途上国へ移転する」ということでしょうか。

参考:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、技能実習に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設けること等により、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。次条及び第四十八条第一項において「入管法」という。)その他の出入国に関する法令及び労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)その他の労働に関する法令と相まって、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の移転による国際協力を推進することを目的とする。

しかしながら、この建前通りを理由で技能実習生を使っている企業は、ほとんどないでしょう。

人手不足解消

これに尽きると思います。
もちろん、法律では、「技能実習生を人手不足解消には使ってはいけません❗️」というようなことが書いています。

(基本理念)
第三条 技能実習は、技能等の適正な修得、習熟又は熟達(以下「修得等」という。)のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行われなければならない。
2 技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。

ここで「労働力の需給の調整の手段」と表現されていますが、端的にいえば「人手不足解消」となります。

皆さんも時間の余裕があれば、この法律(「技能実習法」と検索すれば出てきます)を読んでみて下さい。
現実とのギャップにビビると思います。

少なくとも私はビビりました。

こんなにはっきりと「人手不足解消禁止だよ❗️」と法律で書いてあるのに、日本企業としては、明らかに人手不足解消に使っている。

そもそも、日本企業が、技能実習生を使うのは、募集をかけても日本人が集まらないからです。
それは、技能実習対象業種が、いわゆる3Kと呼ばれる分野であることからも理解できるでしょう。

日本人が”やりたがらない仕事”を技能実習生にやらせている。
ただ、これをもって「なんてひどい❗️」と一面的な感情を振るう必要はありません。
なぜなら、技能実習生にとっても“デカセギ“として成立しているからです。
「送出し機関」等に支払う手数料を引いても150万円ぐらいの貯金ができるのが、ベトナム人の技能実習生のイメージです。これは、年収が30万円程度のベトナムからすれば「ジャパニーズドリーム」と呼ばれるものとなっています。

私は、技能実習生を「ジャパニーズドリーム」と呼ぶことには、非常に違和感がありましたが、そもそも満足な就職先がない現状があるのであれば、一定の理解をすることができます。
そして、これは

「日本が好きだから」
「日本が技術が優れているから」


というような前向きな理由で日本で技能実習をすることを選んだわけではないということも理解できます。

これから当たり前のことを言います。

「日本語は、原則として日本でしか使えません」


つまり、英語のようなグローバル言語ではなく、日本という場所でしか使えないローカル言語だということです。日本語は、“語学勉強”という投資に対するリターンは低い言語と言えるでしょう。それは、日本の先進国としての地位の低下に伴い顕著となっています。

しかも「日本だけでやっていける!」と考えている日本人が少なくありません。

まさにバブル❗️


一方、韓国は、人口が日本の半分以下であり、また北朝鮮等の地政学的リスクもあることから、韓国の官民両方の戦略は「韓国だけでやっていけない」という前提で、アジア全体を対象としたものとなっています。

サクシュされている実習先企業

「実習先企業を糾弾したとしても、本当にこの状況はカイゼンされるのか❓」
この問いと立ててから、色々と話が逸れていった気もするので、話を元に戻します。

結論:カイゼンされない、以上。

ここれで終わったら

「・・・で?」

となるので、もちろん理由について説明します。
この理由については、少し考えれば分かります。
そもそも、日本企業が技能実習生を使うのは、日本人を採用できないからです。

「日本人を雇用したいけど・・・うちには来ないからなぁ・・・技能実習生でも使うしかないか・・・」

日本語によるコミュニケーションの確実性は、仕事の質に直結します。
当然、日本語能力が低い技能実習生を使っていれば、それに伴う工数やストレス、さらにはミスも多くなります。

それでも、技能実習生を使わなければならない。

それが、本音ではないでしょうか。

ここから核心的なことを言います。

実習先企業もサクシュされている。

本当なら日本人を雇いたいのに雇えないのはどうしてか。

それは、企業の利益が薄い構造=シタウケだからです。


シタウケである限り、余裕を持った経営はできません。
絶えず、元請けからのプレッシャーとリスクの押し付けにさらされるおそれがあります。
私たちは、消費者でもありますが、消費者としては「安くて、良いもの」を求めます。それを企業が応えようすれば、シタウケに負担を強いる=サクシュするしかありません(企業努力なんて言葉は、シタウケサクシュを言い換えただけのこともあります)。

そのため、実習先企業を糾弾しても、彼らも技能実習生と同じヒサクシュシャであることからカンゼンを期待することはできないのです。

さて、この連載は、“社会問題に対して正義のペンを走らす❗️"というものではありません。

”シタウケなんてしてないで、外国人材でイノベーションを起こしてムチャクチャ儲けようぜ❗️“というものです。

一見、不謹慎なものにも聞こえるかもしれませんが、この連載で提案するスキームは、技能実習制度とは180度異なるものであり、日本企業だけでなく外国人材にとっても利益が高いものです。

さあ、外国人雇用でイノベーションを起こしましょう❗️

この本が、イノベーションの第一歩です❗️
近藤秀将『外国人雇用の実務〈第3版〉』中央経済社








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