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アラタス講義録(1)自律的社会科学伝統、囚われた思考、模倣型の研究

内容

エドワード・サイードが絶賛したマレーシアの社会学者、サイド・フセイン・アラタスのシンガポール国立大学での晩年の講義録の日本語訳です。


問題提起 囚われた思考

1950年代初頭、つまり私がアムステルダム大学の学生であった頃から、私は直感的に世界中のたくさんの地域における自律的社会科学伝統の必要性について考えてきた。ちょうどその頃、イブン・ハルドゥン(Ibn Khaldun)の著作を読み、芸術家なくして芸術が発展することはできないということを教わった。同様に、自律的伝統も、そのために戦う知識人や独創的で独立した集団がいなければ発展することができないのである。


そこで私はある問いを立てた。何がある学問的伝統の誕生に貢献し、何がそれを深刻に阻害しているのだろうか。自由になるためには、まず、隷属の状態を理解しなくてはならない。これが私を「囚われた思考(captive mind)」の問題へと導いたのである。

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1,674字
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