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きし とうか (小説&写真)
2018年2月4日 23:32
立春がくるといつも思う。「こんなに寒いのに春だなんて」 私はそう呟きながらマフラーを口元に引き上げた。立春も立秋も、一番寒いときと一番暑いときにやってくる。そのたびに私は悪態をつきたい気分になる。期待させておいて、裏切られるのが本当に嫌い。 吹く風はとても冷たく、顔に吹き付けてくる。時折、雪がちらついていっそう顔を冷やした。 玄関の鍵を開け、ドアを乱暴に開けると、ドアベルがちりんちり