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日本アルゼンチン化現象

こんにちは。

小学生の頃、クラスで〇〇係みたいなのを分担するというものがあったのですが、その名前をアレンジするという謎の風習がありました。
(例)図書委員→〇〇書店、飼育委員→〇〇動物園みたいな感じです

私は給食が好きすぎて給食委員だったのですが、その時すでに歴史にハマっていた私がつけた名前は給食幕府でした。

そんな歴史好きでおなじみの私が、今回は日本アルゼンチン化現象についてお話しようと思います。

アルゼンチンの経済について

そもそも、皆さんはアルゼンチンという国にどのようなイメージをお持ちですか?
私はジャルジャルの国名分けっこのイメージしかないですが、一般的にもサッカーが強いくらいのイメージなのではないでしょうか。(アルゼンチン好きの方、すみません)

今回はそんなアルゼンチンの歴史に目を向けてみます。
今、アルゼンチンに対して豊かなイメージを持つ人は少ないと思いますが、実は、アルゼンチンは100年ほど前は世界でも屈指の豊かな国で、一人当たりGDPは日本やイタリアを上回っていました。
20世紀初頭、アルゼンチンはその肥沃な国土を活かし、農業生産を増加させ、ヨーロッパなどに輸出することで経済を成長させていました。最盛期には世界5位の経済大国でした。

そんな中、1946年にフアン・ペロンが大統領に就任しました。
彼の主な政策は、各種補助金の拡大、福祉施策(子育てや老後に対する手当など)の拡充、最低賃金の引き上げなどです。これは一見、人々に寄り添った良い政策に思えます。実際、アルゼンチンでも民衆から高い人気がありました。(彼の熱狂的な支持者をペロニスタと言ったりします)

しかし、やがてアルゼンチン経済は破滅へと進んでいきます。2001年にはアルゼンチン国債がデフォルト(債務不履行)しました。これはつまり、外国からお金を借りることができなくなるということで、会社で言えば倒産にあたります。

最近でも、2023年のアルゼンチンのインフレ率は200%を超えており、1年で食料品などの価格が2倍以上になる異常事態です。

なぜそのようなことになってしまったのでしょうか?
私は、国民全員の既得権益化にあると考えています。

国民全員の既得権益化とは

上記のような、政府が積極的に国民を金銭的に支援するような政策は、国民からありがたがられますが、それが続くと、あるのが当たり前になり、その政策をやめようとすると反発を生みます。そのようにして補助金や格安で公共サービスを受けられる状況が続いていきます。

そうなると、必死に長時間働かなくてもお金が手に入るため、人々の労働時間は減少していきます。こうして政府が支援してくれるため国民全体の生産力は低下していきます。(特に他国と比較した際の相対的生産力が低下)

しかし、お金というのは、それそのものに価値があるわけではありません。お金を食べ物や服などに交換できるからこそ価値があるのです。そのため、アルゼンチンではみんな政府がくれるためお金はあるけど、それを使う先の財やサービスが不足するようになります。
するとどうなるか。経済学をかじったことがある人なら分かると思いますが、通貨供給量が財の供給に対して過剰になるため、インフレが起きます。つまり、お金の価値がどんどん下がり、モノの値段がどんどん上がっていくわけです。

政府は国民の生活を豊かにするために支援しているはずが、結局物価が上がって国民が苦しむ結果になるという皮肉な結果になります。

ではその政策を止めれば良いだけでは?と思う方もいるかもしれません。
しかし、これをやめることは非常に難しいです。なぜなら、支援政策を止めることは、短期的には国民に痛みを強いることになるからです。支援がなくなると、お金が無くなり、今よりも長く働かないといけなくなります。そのため、そのような政策を行う政治家は国民から嫌われるため、選挙で勝てず、結果、支援策が続行されるのです。

この状況を私は国民全体の既得権益化と勝手に名付けました。
以前の記事で書いたように、日本の江戸時代の武士や、フランス革命前の聖職者や貴族などのように既得権益層が一部であれば、その層を排除すれば社会は変革できます。(下の記事を参考)
しかし、国民全体を排除することはできないので、この変革は相当難しく、根深い問題なのです。


日本の現状と未来

このように、アルゼンチンのここ100年の歴史を見ると、政府の手厚い金銭的支援政策が長く続いたことで、国民全体が既得権益化し、その結果国の経済が危機的状況に陥ったことが分かります。

現在の日本はどうでしょうか?
私はいくつか共通項があると思っています。

例えば、少ない自己負担で受けられる医療サービス、学生に対する補助金など、今の日本にも多くの支援があります。これは個人で見ると非常にありがたい一方で、このまま続けると国全体の生産力が低下し、結局は徐々に衰退することにつながりかねません。(合成の誤謬も参考)

実際、ここ数年日本でもインフレ率が上昇しています。もちろんこれには様々な理由がありますが、本質的には長期的に生産力を高めていくことが非常に重要です。
補助金や支援政策は短期的には有効ですが、ずるずると続けると、アルゼンチンと同じ道を辿ることになりかねません。

これに対してすぐに個人でどうこうできるわけではありませんが、まずはこのような考え方も知ってもらえると歴史好きとしてはありがたいと思います!

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