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B級映画、どう選ぶ?vol.1 ワニ物にハズレなし「クロール 凶暴領域」について

家でゆっくり映画が観たいな、と思うタイミングがありますよね。しかも、重いのじゃなくてビール飲みながら観られそうなやつ、という条件付き。

そんなときはアクション映画やB級映画が候補にあがると思うのですが、B級映画は負け試合も多く、映画全般のなかでもギャンブル性が高いジャンルと言えます。

わたしはB級映画も大好きで、とんでもない駄作も数多経験しながら面白いB級映画を開拓してきました。その経験から導いた法則が「ワニものにハズレなし」です。まぁ、ハズレなしというのはさすがにちょっと誇張がありますが、アタリが多いのは事実です。そんなわけで、今回はオススメのワニ映画をご紹介します

ハリケーンの影響で飼育場から逃げ出したワニが民家の地下に侵入し・・・迫る浸水と襲い来るワニ!という父娘のシチュエーション系サバイバルB級映画です。

B級映画の半分は”主演”にかかっている 

B級映画の良し悪しの半分くらいは主演(ワニや蛇やサメやその他の実在の有無を問わない生物無生物たち)の出来にかかっていると言っても過言ではありません。どんなに物語が感動的でも、ワニやサメがショボくれていてはため息ものですから。その点、本作のワニは凡百のB級映画が裸足で逃げ出すほどの超絶ハイクオリティCGを見せてくれます。これはきっと、サム・ライミが製作を担っているので資金が潤沢だったのだろうと思います。

ワニの重量感がスゴイ

ワニのゴツゴツした皮膚や戦車のような重量感の再現度は驚異的で、「実物使ってる?」と思えてくるほどです。別府温泉のワニ地獄で群れなすワニをみたことがあるのですが、それがフラッシュバックするほどの再現度です。まぁ、別府のワニは口開けてだらけきった姿で、映画のワニの方が100倍アグレッシブで恐ろしいですが。

B級映画にあるまじきドラマ性の高さ

娘は水泳選手なので、必然的にワニと競泳という流れになります。ワニの襲撃で手負いの父、その父との過去のトレーニングが思い出されて危機に瀕して胸アツな展開となります。地下から水とワニが上がってくるに従って局面は徐々に家の上部へと移り、同時に娘の葛藤や悩みが昇華されていく二重の上昇螺旋構造が非常に巧みです。B級映画ではとんでもなくどうでもいい物語が展開されることもしばしばなのですが、本作にはそんな心配は御無用です。

ライト級ボクサーのような映画

87分という短時間に父娘のシンプルな物語、浸水とワニの恐怖、この2点に絞って無駄な寄り道をしない、ライト級ボクサーのように引き締まった緊張感のみなぎる映画でした。 サム・ライミ作品に特徴的なやみくもなスピード感、アレクサンドル・アジャ監督のソリッドな演出が合わさった結果がめちゃくちゃ良い方向に転がった感があります。

ビールは進まないかもしれない

とにかく出来のいいワニCG、舞台移動と物語進行がリンクした構造的な巧みさ、87分という短さ、とても満足度の高い映画なのでぜひどうぞ。なお、みいってしまってビールが進まない懸念があることをお断りしておきます。

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