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「グリーン・ブック」のここがスゴイ&次に観るなら

1962年、黒人ピアニストが粗野なイタリア系を運転手兼用心棒に雇い、人種差別が残るアメリカ南部ツアーに出発するというお話。なお、〈グリーン・ブック〉は黒人が利用できる施設を記載した黒人旅行者向けの案内書です。

本作を端的に言うなら「フライドチキンがスゴイ」です。正反対の2人がフライドチキンの食べ方でモメるシーンが最高でした。「チキンは手づかみで食うんだよ!」「そんな食べ方はできない」差別者と被差別者が嫌々ながらも交流する姿は、差別の根幹としての「知らないこと」がひとつずつ減っていくシーンとして映画を象徴するようでした。

1962年はジム・クロウ法という人種による公共施設の使用制限を認めた法律が厳然と機能していた時代です。この2年後、1964年に法律的には撤廃されますが、今でも解決されない問題のまさに真っただ中の話です。難題を扱いながら、あくまで軽妙なのも本作の魅力です。どちらも頑固でなかなか折れずにチクチクとケンカする姿が実にコミカルです。

次に観て欲しい映画として、同じく差別をテーマにした「アメリカン・ヒストリーX」をあげたいと思います。「グリーン・ブック」とは正反対に暴力が暴力を呼ぶ悲惨な様子がどのように解決、あるいは展開していくのか。主演エドワード・ノートンのカメレオン俳優ぶりや、エドワード・ファーロングの繊細な表情も見どころ。ぜひどうぞ。


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