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既存のトランスフォーマーシリーズとは何かが違う 「バンブルビー」について

家庭にも学校にも居場所を見つけられない孤独な少女と地球に逃げ落ちた宇宙機械生命体の運命的な出会いと友情の物語です。

マイケル・ベイは爆破がお好き

トランスフォーマーシリーズは過去5作全てがマイケル・ベイ監督によるもので、売りは「ベイ・ヘム」と呼ばれる爆破と破壊のアクションシーンです。特に4作目のロスト・エイジは今まで観た映画のなかで最も爆破シーンが多かったのでは?と思うほどでした。

娯楽性の追求を否定はしない

ほぼ同じテンプレート上で展開し、娯楽性を追求した爆破とキメポーズのみが記憶に残る「ベイ・ヘム」映画は安心してお金を払い、満足してもらうための装置です。そこにある娯楽性の良さは否定しませんが、新規性も物語的な起伏もなく、デジャヴと化したこれはすでに娯楽性への迎合というべきなのかもしれません。

ちょっと待った!今作は何かが違う!

本作はトランスフォーマーのスピンオフです。しかし、今作は何かが違います。娘と父、娘と母、娘と母の新しい恋人、姉と弟、少女と同級生、人と未知の存在、関係性や距離感が異なるさまざまな構図のどれもが捨てられることなく回収されています。

少女とビーのあいだにある親子、友達、恋人、そのどれとも言えるような関係性をメインマストに、誰が見ても誰かに感情移入して楽しめる映画になっています。その観客自身が持つ関係性への高度な最適化が本作の最大の魅力であり、いままでのシリーズとは明らかに違う特徴でした。

なるほど、スタジオ・ライカの人か

本作はマイケル・ベイ監督ではなく、「KUBO」をはじめ優れたアニメーション映画を製作したスタジオ・ライカのトラヴィス・ナイト監督によるものなのです。80年代を舞台にしたことで幅広い年代が楽しむことができるうえに、ドラマ性を邪魔しない程度に盛り込まれたアクションシーンで爽快感も補充されています。シリアスとコミカル、ドラマとアクションを巧みに配合し、観客への迎合ではなく高度な最適化がなされた優れたアクション映画としてオススメできます。ぜひどうぞ。

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