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ハッピーとリアルのバランス「ワンダー 君は太陽 」について

遺伝性疾患で「普通と違う顔」に生まれ、奇異の目から自分を守るためにヘルメットを被った少年が10歳にして初めて学校へ通うお話です。

なるほど、「レント」「ウォールフラワー」の人か

「これは絶対泣く映画」と思ったら案の定そうなのですが、不思議と押しつけがましさがありません。知れば納得、迷える若者たちを描いた名作「レント」「ウォール・フラワー」を手掛けたスティーブン・チョボスキー監督による映画なのです。

現実的な重力の良さ

本作で特徴的なのは主人公の少年だけでなく、姉や同級生の視点からも語られるところ。それぞれの立場からの物語りや苦悩、失敗が「普通」や「正しさ」の多面性を浮き彫りにし、「いい話」に留まらない現実的な重力を感じさせます。引き締め方が実に上手でした。

そして、現実へ

新任教師が「正しさと優しさで迷ったら、優しい方を」と諭すシーンや劇中の誰かの視線をひとつでも観客が現実に持ち帰ること、それこそが意図されたことなのかもしれません。 実際にはもっと過酷な現実があり、必ずしも劇的ではないかもしれない、それでも。という意味で。

箱の中身が気になる

大きく開けた口から幸福が溢れ出そうな母親役ジュリア・ロバーツの笑顔を引き出すのは父と夫の間を行き来して家族を支える父親役を演じたオーウェン・ウィルソン。実はこの映画で一番好きだったのは、夫婦のあいだでとある箱が交わされたシーンでした。母であり、妻である受け取った女性の反応をみるに、中身はきっと・・・。ぜひどうぞ。


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