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1月の古民家だより 冬イチゴ

『ほら、冬イチゴ。』
暮の戸外での昼食準備中、古民家に住む友人が、庭から摘んできた野苺を片手に、『焚き火も用意できたから』と台所に戻ってきた。
小さな実を枝からそっと外し、冷蔵庫からバター、フライパンをガスにかけ、手際良くあっという間に『甘酸っぱい苺ソース』の完成。
『炭火焼の鴨に合うんじゃないかな。』

その苺は、外のテーブル脇の石垣に生えていた。
それは、ひっそりと葉っぱの下に隠れながら蔓の先に小さな実をたわわにつけていた。
陽にかざすと透き通るような美しい赤。

冬イチゴ

『器に活けてみたい』という衝動にかられ、潰れないようにそっと、いく枝か持ち帰った。
花器は、その昔絵筆を洗うために使っていたと思われるブリキの器を選ぶ。

水に溶けてゆく水彩絵の具の赤色をどこか思い出させたから。

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