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夏色の伊豆旅

昨日の仕事の疲れを引き摺ったまま、車に乗り込む。
元気すぎるラジオDJがやや耳障り。そんなに朝から頑張らなくても、と思う。クラシックが聴きたいが、わざわざオーディオを操作する意欲も無い。箱根越え後、三島の街が一望に見下ろせる頃、ようやくじんわり意識が戻ってくるのがわかった。低体温低血圧気味だからよくある事だ。

いつも友人の下田の家へは、東伊豆から向かうが、今日は友人の家を訪ねる前に、西伊豆で一つ目的があった。

まずは一息、月ヶ瀬ICに寄る。
駐車した隣のワゴンには、浮き輪が見える。
ああ夏休み、ですね。
早すぎてお店はオープンしていなかったが、敷地内の沢の近くまで降りる。
夏に生い茂った木々の緑の合間に溢れる沢の音は、涼を誘う。
伊豆半島のいいところは、どこでも水が綺麗なところ。天城山でたっぷりと蓄えられた水が豊かに流れている。

月ヶ瀬IC

さて、先を急ごう。
金山で知られる土肥から西伊豆の海岸に出て、いくつかの岬を過ぎる。
入江ごとに海水浴場の駐車場が現れ、夏の週末の今日は賑わっている。
街道沿いには、マンゴー色のカンナ、南国の花ブーゲンビレア、ハイビスカスまで、鮮やかに太陽に向かって咲いていた。

迷いながらもようやく目的地にたどり着く。
すれ違いもできない車一台分の幅の坂を海に向かって気を付けながら下る。そこには商店など一つもない、小さな入江に面した静かな集落があった。
今日の最初の目的地は、知り合いの別荘。
その別荘は、今のところ緑に覆われ、屋根しか見えていない。

もう随分人が訪ねてこなくなったその別荘は、玄関前のアプローチの道ですら、人の高さほどある蔦や芒に覆われ、皆で茫然と立ち尽くす。
友人数人で踏み固めながら探検隊のごとく進む。
やっとのことでたどり着き、恐る恐る鍵を開け、中に入る。
その中は、かつて多くの人が訪ねてきては、過ごしたであろう時間が積み重なっていた。

長い時間を過ごすとなると三國志よね、と友人は言う。
この飴色は一体何年物? ランプ加工されている。

別荘の窓から海と富士山を望む眺めは最高だった。いくつかの壊れた箇所や中の様子を確認した。
かねてより、別荘を探している友人と『ここはどうだろう』と半分本気のような、いざ手に入れてしまうと『それはそれで大変よね』という冗談まじりの会話をしながら、その別荘を後にした。
次にまた訪れるかどうかはわからない。

さて、今回の1日旅には、さらにおまけがついた。
黄金崎に向かう。
通称『馬ロック』と言われる馬の頭の形をした岩。
お馬さんの立髪までついている。

黄金崎

映画グランブルーを思い出させる海。青の洞窟のよう?
西伊豆のいくつかの岬と入江の連なりが見える。
富士山がなければここは地中海か、と錯覚するかのような眺め。
西伊豆は、鉄道もなく不便な場所であるが、その分自然が豊かだ。

黄金崎から富士山を望む

今日の前半の美しい西伊豆の海岸を堪能した後は、いつもの下田の家に戻り、庭の木陰でランチ。
自家製の梅シロップジュースは陽に当てるとさっき見たブーゲンビレアのような美しいピンク。

自家製梅シロップジュース

古民家の季節の定点観測。
今日は、庭の木槿を少々いただいていけた。

木槿

さて、あっという間に帰宅時間。
いつも帰りの渋滞状況を見ながらその日のルートを検討する。
R135はいつもの週末渋滞のようだったので、天城越えから修禅寺、亀石峠から伊豆スカイラインに乗る。

伊豆スカイライン

伊豆スカイラインはまず混むことがないので、ほぼストレスがない。
また、富士山や西伊豆、東伊豆とどちらも眺めることができる絶景道路。
夕暮れからマジックアワーは、カーグラフィックの気分になれるから好き。
ガラスには夏の黄昏色が写っていた。

伊豆スカイラインから東伊豆 初島を望む

追記
本日のカメラ。

今日もGRⅢで撮影。
移動が多い旅写真は、機動力のあるコンパクトカメラが一番。
場合によっては携帯でもいいかと思う。
GRⅢは基本28mmだがクロップで35mm,50mm、マクロと景色から花や料理など近接まで対応できるのでありがたい。
もう一つ、LeicaM4にもKodak portra400を詰めて、連れていった。
どんな夏色が撮れているのか、それはまた少し時間が経ったあとのお愉しみだ。

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