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如月朔
2021年11月15日 18:14
飼っていた猫が死んで、そこそこ愛していた恋人がいなくなって、自身の不幸で肥えた傲慢と彼と選んだ海辺の家が私のほとんど全てになった。一面に広がる海を眺めることが出来る窓の前が私の指定席だった。すぐ後ろにソファが置かれているにも関わらず、何かに取り憑かれたように茫然と佇む私の姿は、外から見たらまるで亡霊か何かに見えたろう。何日そうしていたのか覚えていない。毎日同じように波の間を揺蕩うカモメの一