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数学ギョウザ

「ううむ」
「どうしたんですか枡教授、餃子を前に難しい顔をして」
「これは助手の真近くん。いや実は、餃子の皮はどこまでが表面なんだろうかと考え始めてしまってね」
「は? それは当然餃子の外側が表面なんじゃないですか」
かぶりを振る教授。
「いやいや、考えてもみたまえ。餃子の皮の表面をなぞっていくと、具を包んでいる部分に辿り着くだろう?」
「それはそうですが」
「すると、具に接している部分も表面と言えないだろうか」
「なるほど、そういう考え方もありますね。メビウスの輪とかクラインの壺的なやつですか」
「そうだ、いわゆる位相幾何学トポロジーというやつだな」
「確かに難しい問題ですね。でも簡単に解決できますよ」
「ほう。それはどうやるんだね。教えてくれないか」
「こうです」
そう言うと真近助手はひょいぱく、と餃子を口に放り込んでしまった。
「これで餃子は【ゼロ】となりました」
「なるほど、今度はインド料理が食べたくなってきたぞ」

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