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2022年10月の記事一覧

【掌編小説】Eyelid

【掌編小説】Eyelid

どうしよう、まだどきどきしている。

自分の心臓の音がこんなにも大きく聞こえるなんて、生まれて初めての経験だった。

彼の声がまだ耳の奥で反響している。

優しい声、少し緊張した声、大好きな声。

その声で、わたしに向かって愛を告げてくれた。

場所はいつもの夜の公園。

ブランコに彼と二人、並んで腰掛ける。キイキイと少し軋むブランコをそっと前後に揺らしながら、とりとめのないお喋りをする。まるで世

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