協働という幻想
「隣のまちと協力してって言ってたけど、どんなところで差別化していくの?」
「差別化じゃなくて、協働だよ!」
とある研修で会った自治体の職員に聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。
驚きだった。
私は二拠点居住にも興味があって、将来疲弊しないまちに住みたいという野望がある。そのための情報収集は積極的に行っている。
そして、大学では曲がりなりにもまちづくりを勉強していた。
ポジションとしては、知識はちょっとだけある一般市民レベル。
最近のまちづくりは昔のお堅いイメージから少し変わり、民間との協力や委託など当たり前。(良し悪しは別として。)
さらに、民間企業から転職した公務員も意外と多い。つまりは、民間の思考を知っている職員が結構いる。
それはさておき、協働。
民間も行政も、協働って響きはすばらしいものに聞こえるらしい。
それこそ幻想ではないのだろうか。
たとえば、
人口流入のために、人口が増えつつある人気のエリアを活用しようとする。
その人気のエリアは、2つの市と町にまたがっている。
2つの自治体が協力して、人口流入を促進する事業を企画することにした。
たぶん、ここまでが協働の範囲。
その後企画に効果が表れ、定住人口が市のほうだけ増えた。
なぜなら、市のほうが駅周辺の商業施設が豊かで、街頭が多く、暮らしやすいと評判になったから。
遠方から転勤での引っ越しから、子どもが生まれて家を買うことを決めた隣町の住人まで市へ流入した。
結果、同じ企画に携わっていたはずなのに、市の定住人口は増え、町の人口は減った。
こんなストーリーは想像しやすい。
近隣だからこそ、違いは何かを考えどう惹きつけるかを考える。
これが差別化。
協働ありきでなんでもすばらしい事業!という価値観は、もう危うい。
協働自体はもう全国規模で浸透しているし、それだけが魅力にはなかなかなりえない。
公民連携でも、自治体間の連携でも、協働を生かすも殺すも差別化次第になるんじゃないか。
初めの会話に戻るけれど、私が聞きたかったことは
「隣まちと協力しても引き立つ、あなたのまちの魅力はなんですか?」
ということでした。その答えが、
「隣のまちと協力していること!」
なんてのは、ちょっと、もったいない。
自治体職員に聞いてみたい。
「近隣都市に勝る、あなたのまちの一番の魅力はなんですか?」
最後まで読んでくださりありがとうございます。 これからも、私の文章に会いに来てくれたら嬉しいです!