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「幸せアップ」の森林活用


 最近、某日系経済紙のデジタル記事とシンクロした。「持続可能性」というコンセプトを初めて唱えた人物は、18世紀初頭ドイツ東部ザクセン地方の官僚ハンスカール・フォン・カルロヴィッツ氏だったという。もともと同氏が地元の森林資源の持続的な利用を著書で提言したのが源流の一つらしい。

 それから約300年後、国連はその概念を17項目に派生したSDGs「持続可能な開発目標」を全会一致で採決し、2030年までに世界中の国々ができるだけ達成しようとしている。そんな国際社会のミクロのそのまたミクロの私も、文藝春秋が募るこのエッセイ#未来のためにできることを投稿して、改めて日本の古里の森林の持続可能な運用を考えてみる。亡親から継いだ複数の山林は、現地実態調査もこれから、幼少期に亡父と散策した思い出や想像だけだ。でも、夢の企画イメージは…猫と散歩しながら「ニャン歩と森林浴」。なぜ猫と一緒なのか? それは都市の猫カフェに通う人々が、休暇に岩手を訪れ猫と森に癒されたり、全国で飼い猫とリード散歩している飼い主の方たちも、飼い猫を連れて休暇を岩手の森林で過ごせるために。またいつの間にひきこもりになってしまった方たち(猫と無関係でも)岩手で森林浴を満喫する。大自然と融合した山林を「みんなの幸せアップ」に活用できれば、と望む。

 一方、前述カルロヴィッツ氏同様、現実的な森林の持続可能な有用も考えている。森林資源を管理し、計画的伐採や再植林を実施して、官民自治体と連携した経済的林業やバイオマスエネルギー供給などの運営だ。時間と能力の限界は一旦保留して、100年後の我が理想郷には、次世代へ継続された循環型の森林経営が稼働し、そこには多様な生態系生物・微生物が生存する。山から海へ恵みが流れ、三陸の海もますます豊かになっている。地元経済と環境保護の両立に、森林資源がちゃんと還元される持続可能なシステム。

 さて、マクロ視点の現状は、連年の気温上昇に因り、遂にアルプスの広大な凍土が溶解消滅したり、干ばつや森林火災、水害や土砂崩れなど自然災害は激甚化。約30年前、飛行機の窓から見えたゲルマン大地の第一印象は深緑の森だった。日本の国土面積はそんなドイツとほぼ同じ、より森林に覆われている。あと7年半、両国はSDGsに専念し続けられるのか。世界にも、新年が地球存続の岐路のような、非常に大事な年になるような予感がする。