もう落ちようがない
なにをどう間違っても、今より良くなる未来しか見えない。
そういう状況に陥ったのは初めてじゃない。
1度目は自分の人生のどん底の時だった。もう落ちきって、これ以下になることはないと思った時に怖さがなくなった。普段なら恐れることも気軽にできてしまったし、向かうところ敵なしだった。
けれど、それは期限付きの魔法みたいなもので、一度浮上し始めたら、また落ちる恐怖が出てきた。
いま、僕は2度目の確変期に入っている。
1度目との違いは、いまの僕は全くどん底ではない。失うものもあるし、守りたいものもある。なによりもそこそこ満たされている。
そんな環境で、挑戦するのは当然リスクも伴うだろう。だから、明るい未来以外も想像してしまうはずだ。にも関わらず、なにをしても紆余曲折の末にうまい具合にことが収まりそうだと思える。
これは、自分の力じゃなくて、たくさんの人に支えてもらっていることに気づいたからだ。自分が落ちようとしても下から支えられてしまったら落ちようがない。
つまりはそういうことだ。
なんの名声も実績もない人間にどうしてこんなにも優しくしてもらえるのだろうか?
僕には不思議でならない。ただ、理由がどうあれ、支えてくれる人に顔向けできないような恥ずかしい振る舞いだけはしないようにと心を決めて、明日も生きようと思う。
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