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大事なこと、大事にしたいこと


2021年、2月。
変わらずコロナは終わらないし、コロナの打撃を受けている旦那の仕事は不安だし、と年明けからネガティブな気持ちが止まらなかった。
なんなら、この一年、ずっとそんなモチベーションだったかもしれない。

そんな中、長女の誕生日があり、無事迎えられ、大きくなったなぁと喜びの気持ちに満ちた誕生日当日。

誕生日ケーキを取りに向かう最中、車のタイヤがパンクするという初体験と非常事態に見舞われた。

18歳で運転免許を取ってから、ずっとペーパードライバーだった私は次女の妊娠を機に自分の車を持ち、運転するようになった。
3年乗っている私の車は1万キロ程の走行距離。
マイカーを持っても、あまり運転をしない人間だ。

そんな私にとってタイヤのパンクは大事件で、これって一体どうしたらいいの!?と頭は大パニック!心もハラハラ!

タイヤのこと、ケーキのこと、後部座席で帰りたいと騒いでる次女。
平常心でいろと言われても、私には無理だった。

とにかく、旦那に電話だ!と思い、かけるも、仕事中の旦那がすぐにこれるはずもなく、近くのスタンドに連絡しろと言われる始末。
そのまま走ったら最悪、火花が出る場合もあるから路肩に停めて対応しろとの助言を受けたが、パニック中の私の頭には"火花"というパワーワードだけが残り、更にパニック。

たまたま、いつもガソリンを入れるスタンドの近くだったため電話をするとスタンドの店員さんが来てくれた。
店員さんがまるでヒーローのように思えた。
スタンドに行ってタイヤを修理してもらった。

その間、ネットでケーキ屋さんの閉店時間を確認。
まだ間に合う時間だったが、タイヤの修理にどのくらいの時間がかかるかわからなかったプラス早く帰りたい怪獣の次女がいたため、ケーキは旦那に取りに行ってもらうことに。

無事、タイヤの修復を終え、家に帰ると旦那から「ケーキ屋が閉まってる」と絶望的な電話が。

誕生日当日に誕生日ケーキがないなんて、子供にとっては絶望的過ぎる。
店舗へ電話をかけても、すぐに留守電に。

恐る恐る、娘に「…ケーキ屋さんが閉まっててね、もしかしたら今日ケーキ取りに行けないかも…ごめんね、ママがタイヤをパンクさせちゃったから…本当にごめんね」と言うと
すぐに目を潤ませ、「えっ……うん、わかった、いいよ」という8歳。
8歳なりに状況を理解し、母を責めるわけでもなく、嘆くわけでもなく、色々な気持ちを飲み込んでることがすごくわかった。

私の頭の中は"今から違うケーキ屋さんに買いに行こうか"とか
"この時間(夕方6時半過ぎ)にケーキが残ってる店あるかな"とか
"どうにか予約した煉獄さんの絵の描いてあるケーキを手に入れる方法はないだろうか"とか
フル回転でない知恵を絞り、ケーキ屋さんの前に旦那を待機させたまま、系列店舗へ連絡をしてみる作戦に出てみた。

なんとしても、健気な娘の楽しみにしていた煉獄さんケーキを今日入手したかった。

系列店舗へ電話で事情を説明すると、折り返す旨を言われ、ソワソワしながら携帯を握りしめた。

すると知らない携帯電話から着信が。
予約していた店舗の方がケーキを持ち帰り保管していてくれて、届けてくれると言われたのだ!

その時の電話で、その店員さんはめんどくさそうな声色など微塵も感じさせず、閉店後の勤務時間外だったにも関わらず、取りに行くという私の申し出にも「お誕生日の準備などでお忙しいでしょうし、近くなので私が持って行きますから!」と言って下さった。

届けにきてくれた際も「いつもご利用いただきありがとうございます!お誕生日おめでとうございます!」と笑顔で対応してくれ、本当に心から感謝した。

タイヤのパンクやらコロナ禍での営業時間短縮やら色々な要素が入り混じったこのトラブル。

最悪の一日になりそうだったこの日が、最高の一日になったのは
タイヤのパンクで大慌てな私に優しく対応してくれたガソリンスタンドの店員さんと
素晴らしい対応でケーキを届けてくれたケーキ屋の店員さんのおかげ。

人の優しさと心遣いに触れ、とても気持ちが温かくなった。
ネガティブな気持ちが続いていた中、久しぶりで、だからこそとても心に染みたし、忘れていたことにも気がついた。

人に優しく。
思いやりを忘れずに。
感謝の気持ちも忘れずに。
ネガティブな出来事に見舞われた時も、ポジティブな思考で打開策を見つけられる。

専業主婦になり、更にコロナ禍で人との関わりが家族以外とは薄くなって、以前は当たり前に持っていた感覚を忘れていた自分にも気づいた。

笑顔は人を温かくするし、ホッとさせる。
感謝をしっかりハッキリ伝えると、相手も笑顔になってくれる。
人に助けてもらうと、自分もなにかで人の役に立つ人間でありたいと思う。

そして、なにより不平不満を言わず、グッと堪えた長女のようになりたい。
そんな彼女を見て、私はなにがなんでも絶対にどうにかしたい!という気持ちが更に強くもなった。

人と人は合わせ鏡のように、その人の対応ひとつで相手の気持ちもガラッと変わるということを私自身が忘れないようにしていかなければ。

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