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谷川俊太郎さんから学ぶ「詩」とは。

谷川俊太郎さんは、日本で最も有名な詩人と言えるのではないでしょうか。下世話かもしれませんが、詩で生活が成り立っている人という
本当に数少ない人という印象です。

その著作の中で、「詩を書く」という新書から、
気になった谷川さんの言葉を引いていきたいと思います。

ノートメモからの引用ですので、谷川さんの言葉と私の拙い思考文が
混じる可能性があります。ちゃんとした論説なら、「詩を書く」を購入してみてください。(後述しますが、「詩を考える」という続編もあります)
その中でも重要な気づきがあったので、書き留めておくまでです。

詩を書くこととは

現代では仕事として成り立ちにくい詩人ですが、
職業として詩人を選ぶことはイコール
「なぜあなたは生きているのか」という
問いに答え続けることに直結しているとこの本から私は読み取りました。

「どんな言葉であれ、それが世界の中の事物に呼びかける限り、
 ぼくらは言葉によって、生と結ばれることが出来る」

谷川さんはそう仰っています。
元々は、まず職業として詩人があり、
そして詩人は、
<私はこういう詩を作らねばならぬ>という自覚があったわけです。
詩人は大工や医者と同じようにまず一個の職業であることを忘れてはならない、と谷川さんは続けます。

・詩人には詩をつくる義務があるはずだ。
・詩は社会的なものだ。

という前提条件のような認識が現在の現実には欠けてしまっているようです。

そして詩は、単に社会的なものにとどまらず、
コスミックなものまでにつながるものであり、
非人間的な感動を核にしているものであっても、決してひとりよがりな、
個人的なものであってはならないそうです。

個人的に詩の発想が枯れかかっている私には耳の痛い言葉です・・・・・・。

さらに、谷川さんは
「詩人とは言葉を信ずる者ではなくむしろ言葉に賭ける者である」とまで
言い切っています。

詩は人間の生命を最も根源的深さで表す、人々のものである、と。

ここでいう「人々」は単に詩を書く人、読む人だけではないのではないでしょうか。私は、この世に存在するあらゆるものに呼びかけているような気がしました。

勿論、ここまで深く私が詩作の上で考えたことはありませんでした。
しかし、谷川さんのこれまでの記述はストンと私の中で納得するものだったのです。本当にすごい、としか言いようがありません。


詩を考える

さて、続編の「詩を考える」についても言及したいと思います。

・一番しみる(心にくる)感情は何か?
哀しみはいつも時代を超える:基本的な感情は時代を超える
ということであれば、日々の喜怒哀楽の中に創作のヒントが詰まっているということですね。

・詩を読みながら吾々がその詩の指すものへと注意を吸収されるような詩を書くこと
これはエリオットからの引用かもしれません(原典が無いので曖昧で失礼します)
新鮮さ、驚きと納得にあたいする詩を書くということですね。

・芸術が自己表現だとしたら、詩は自己表現でありつつ他者の理解や
感じさせる核が必要。これは、「私は私である」というだけではダメで、
「気づき」や「私もそうだ」などの共感が必要である、と谷川さんは仰ってました。

・(詩は)どんなものとも無縁ではあり得ない。
谷川さんは「詩人は世界のすべてに教えられ、世界のすべてアレルギイ的に反応」する、と仰っています。
アレルギー的反応ですか・・・・・・言い得て妙ですが、
そんな繊細に世界を捉えられるかが問われているような気がします。
どんなものとも無縁ではない世界は「コスミックなものもソシアルなものも両方含んでいる」そう続けて述べられています。
天地万有あらゆるもの・・・・・・ネタ切れなんて言ってられませんね。

・歴史的感覚・宇宙感覚
三十歳すぎても詩人であろうとする者は歴史的感覚をもたねばならない(エリオット)と谷川さんは上げられています。この歴史的感覚を目覚めさせるものが宇宙感覚。宇宙に目覚めていながら、常に人々の間に帰って来なければならない存在。(が詩人)
うーん・・・・・・難しいなぁ。
私的解釈だと宇宙と繋がっていながらも、
詩の言葉は市井の人間に通じるような、
平易で、しかし読む者にとっても宇宙を感じさせるような詩ということでしょうか。

・夢見る勇気
谷川さん曰く、
「現代では、孤独こそが真のリアリティである人々が何と多いことだろう」と仰っています。これは、孤独の肯定ではないと感じます。続けて、
「大切なのは、夢見る勇気をもつことだ」
「夢を人々のものにする芸をきたえる」……と。
詩はもっともっと人に読まれなければ、衰退する。
ある人々のたしなみだけでは文学そのものも危うい。
昔の文豪の立ち位置が今のお笑い芸人に例えられているのを聞いたことがあります。
私もお笑いが好きでよく見ますが、詩はそれに匹敵する訴求力を持っているでしょうか。

・いい詩よりも・・・。
(言葉で)<私>と呼ぶことで、世界と結ばれようとしている、
と谷川さんは書いています。
さらに「いい詩」を書くよりも大事なこととして、
「(その)詩がどこかで一人の人を生かすことを願っている」
とも書かれています。
生活の雑感から出てくる言葉が詩になるか?との問いとして、
「一時的な激情や、青くさい告白癖から解放されてこそ、
 詩をつくる感動というものが真の力を示す」と
これまた耳の痛いお言葉・・・。
あえて生活の言葉と詩の言葉は分離するべきだという姿勢です。

「詩を考える」・・・・・・考えるとこうなる、というお手本を読ませて頂いた感じです。谷川さんの言葉は深いです。

是非、読んでみてください。

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