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「勉強の苦手な子は、なぜ勉強が苦手なのか」シリーズ

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勉強の苦手な子/得意な子にはどういう違いがあり、その差を埋めるためにはどういう教育が必要そうか? 「学力」とは何なのか…? 10年間の塾講師経験と7年間の自塾経営&無料塾に関わっ… もっと読む
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小中学生向けの学習塾を経営してみて分かったこと

7年前に小中学生向けの学習塾を開業してから、毎日ずっと「子どもたちの学力を伸ばす、普遍性の高い方法はないだろうか?」と考え続けてきました。 その結果、この問いに自分なりの答えが出せるようになったと感じています。 勉強の苦手な子は、なぜ勉強が苦手なのか?そこでこれから、勉強の苦手な子は、なぜ勉強が苦手なのか?というテーマでブログを書いていこうと思います。 子どもたちを観察してきて、いわゆる「勉強の苦手な子」と「地頭の良い子」との間には、暗記・思考・理解の方法に違いがあること

勉強の苦手パターン① そもそも「覚えようとしていない」(≠やる気がない)

(この記事は約5分で読めます) このパターンについて、「漢字テストに合格するまで帰しません!」という学習塾の事例を使って説明してみます。 授業後の漢字テスト(10問)で不合格になったら、間違えた漢字を20回書いてから再テストを受ける。生徒は満点を取るまで帰れないとします。 ここで5回以上再テストになる、つまり同じ漢字を100回書いても覚えられない生徒がいます。 これはどうしてなのか。やる気がない、集中していないからなのか…? →違います。 今まで何人もこういう生徒がいま

勉強の苦手パターン② 覚えようとしているが、方法を間違えている

(この記事は約5分で読めます) パターン①も②も、「テストで漢字を間違える」という結果は同じです。しかし理由はまったく別のところにあり、対応を間違えると解決しません。 ▼このパターンでよく見られる特徴は…・たくさんの漢字を覚えられない(一度に少量、短期間なら覚えられる) ・画数の多い漢字を覚えられない(「薬」「燃」など) ・一度覚えてもすぐに忘れてしまう ・「へん」など部首を間違える(「銀」と「眼」、「住」と「往」、架空の漢字を作り出してしまうなど) ・同音異義語を間違え

勉強の苦手パターン③「覚えた」という感覚がどういうものなのか、自分でも分からない

(この記事は約5分で読めます) パターン①、②とパターン③が同時に起こっていることが多いです。どういうことなのか分かりにくいと思いますので、例を挙げて説明します。 塾での漢字10問テストをイメージしてみてください。テスト終了後のやりとりです。 講師:漢字テストが不合格だった人は、練習後に同じ問題で再テストします。練習の回数は自由です。 覚えたよ!っていう人から私に声をかけてね、再テスト用紙を渡すから。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー (10分間くらい生徒が漢字を練

勉強の苦手パターン④ そもそも教科書の文章の意味が理解できない。読み取れない

(この記事は約14分で読めます) パターン①〜③は、勉強の苦手な子に共通する特徴を「覚えられない」という側面から分析しました。 パターン④からは、「理解できない」という側面に注目します。 ▼「教科書の文章の意味が理解できない」子はどんな状態か?その定義パターン④に当てはまる子どもたちがどんな状態なのかを、まず定義します。 教科書を読めていない子どもたちを分析すると、共通して以下の特徴が見られます。 特徴1:語彙力の不足=漢字・語彙など、「単語」を理解できていない 特徴

勉強の苦手パターン⑤ 教科書に書いてあることは分かるが、自分と結び付けて考えることができない

(この記事は約16分で読めます) 前回のパターン④では、子どもが教科書を読めない原因の一つに「日本語の発音・語彙・文法能力の深刻な不足」があることを説明しました。 パターン⑤では、「国語力があるにも関わらず、教科書に書いてあることがうまく理解できない」という子どもたちについて分析します。 ▼このブログで一番伝えたいことパターン①から④までずっと、「勉強の苦手な子」に共通して見られる特徴とその原因を分類してきました。 その核心となるのがこの⑤です。 なぜならここで説明す