見出し画像

勉強の苦手パターン① そもそも「覚えようとしていない」(≠やる気がない)

(この記事は約5分で読めます)

このパターンについて、「漢字テストに合格するまで帰しません!」という学習塾の事例を使って説明してみます。
授業後の漢字テスト(10問)で不合格になったら、間違えた漢字を20回書いてから再テストを受ける。生徒は満点を取るまで帰れないとします。

ここで5回以上再テストになる、つまり同じ漢字を100回書いても覚えられない生徒がいます。
これはどうしてなのか。やる気がない、集中していないからなのか…?

→違います。
今まで何人もこういう生徒がいましたが、彼らはすごく一生懸命に漢字を練習しています。
だって早く帰りたいんです。先生や親に怒られたくないんです。
やる気はあるし、集中してペンを動かしています。

▼このパターンで漢字が覚えられない理由

じゃあなぜ覚えられないのか?
それは彼らが「覚えないように集中している」からです。

上でも書きましたが、彼らはノルマを早く終わらせたい一心です。
でも、同じ漢字を何度も書くのは苦痛です。

じゃあどうするか?
考えないように神経を集中するんです。
とにかく書くことだけに集中する。覚えようとしないようにする。
塾業界ではこの状態を「写経」と呼んでいます。

私たちにも覚えがあるはず。
親や先生に長々と怒られている時、「聞かないように集中」していましたよね?
それと同じことが、漢字の練習をしている彼らの頭の中でも起こっています。

これは暗記系の勉強すべてに言えます。
英単語も、同じ理由で覚えられない子が多くいます。

▼パターン①の対処法

①のパターンはつまり、出された課題の目的が何なのか、子どもが考えられていないことに原因があります。

・本当の目的→漢字を覚え、帰宅のためのテストに合格し、中長期的に覚えておいて学校のテストでも得点すること

・子どもの考えている目的→言われたとおりの回数、漢字を書くこと

自分は本当は何がしたいのか?を、子ども自身に考えてもらうことが必要です。
たとえば…

漢字をたくさん書きたいわけじゃないよね。テストに合格したいんだよね?
じゃあ、ただ書くだけじゃなくてどういうふうにしたらもっと長い間覚えていられそう?
こういうやり方もあるよ!
そのやり方だと何回くらいで覚えられると思う?
20回よりも少ない回数で覚えられるならその回数でもいいよ!

…みたいなアプローチになりそうです。
時間をかけてコミュニケーションを取りながら、根気のいる指導が必要になります。

素直な性格のお子さんであればすんなり漢字を覚えられるようになることも多いですが、自分を曲げないお子さん、勉強の必要性を感じられていないお子さんの場合は時間がかかることもあります。

▼やってしまいがちな間違い指導

これを「やる気がない・集中力がない」と叱ってしまうと、先生・生徒間で大事故が起こります。こんなに苦しいことを一生懸命やってるのに!と子どもはますますやる気を失い、先生を信頼しなくなっていきます。

▼類似ケース

・英単語を覚えられない、社会の用語を暗記できない等も、同じ理由の場合は同様に対応します。

▼①のまとめ/学習塾での解決の可否

個別に対応が必要ですが、学習塾で解決が可能です。

※これ以外に、「小さな成功体験」と「褒め」の組み合わせはすべての指導で基本&非常に有効です。

新しいやり方を教えても、子どもは絶対にすんなりとは実行してくれません。
今までの自分のやり方を変えたくないからです(大人も同じですよね)。

だからまずは小さな成功体験をさせて、それを見つけてあげて、徹底的に褒めてあげることがとても重要です。
やったじゃん!やっぱりあのやり方が良かったんじゃん?みたいな感じです。

すると嬉しいですから、子どもは自然と自分からやり方を変えていきます。
大人の考える(本人の意思ではない)やり方を押しつけるような指導は、うまくいきません。

この方法は、これから紹介する5パターンだけでなくすべての指導において有効です。
そのため、パターン②以降の「対処法」ではあえて書きません。

次の記事では、勉強の苦手な子によく見られるパターン②「覚えようとしているが方法を間違えている」子について、その原因と対処法を書きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?