ドッジボールのコートが出来上がるのを待っている時間
小学生の頃、6教科の中で音楽の次に好きだったのが体育。
体育の授業のなかでも持久走の練習だけは嫌いだったが、長縄や水泳、リレーなどの種目は好きだった。
特にテンションがあがったのはドッジボール。
体育館で行われる時は、床にコートのラインがあるのですぐに試合を始められたが、校庭で行う時はまずコートのライン作りを先生が行っていた。
倉庫から石灰が入ったライン引きを持ってきて、カラカラと音を鳴らしながら線を引いていく。
石灰がないときは先生が足をひきずりながら擦って線を引き、コートを作る。
ジャリジャリと線が引かれていく音を聞きながら、ただただコートができあがるのを待っている生徒たち。
このコートができあがる時間もまた好きだった。
みんな黙って体操座りで待っている。
私は先生の動きを目で追っていたが、おしゃべりしだす子もいれば、地面に文字を書いて時間をつぶす子、体操帽子のゴム紐をしゃぶって時間をもてあましている子もいた。
ドッジボールの試合が待ち遠しくて仕方ないのだが、コートが出来上がるのを待っている時間も楽しみを倍増させた。
そしてコートができあがると、おまちかねの試合開始!全員起立!となるのだ。
黒電話で電話をかけるときも似たような感覚がある。
電話をかける相手と話すのが目的なのだが、ダイヤルを人差し指で回している行為の方が好きだった。
ただダイヤルを回したいだけ。
あのダイヤルを回す感覚がくせになったものだ。
ダイヤルを右に回し、まわしたダイヤルがまたもとの位置に戻っていく。
それを目で追っかけるのも面白いし、ダイヤルを回す行為自体も楽しい。
その感覚を思い出しながら今書いているわけだが、黒電話が欲しくなってきてしまった。
またあの頃のように、ダイヤルを回し電話をかけたい。
目的が違うがそれでいい。
ドッジボールのコートを作るのもやってみたかったけれど、それは先生にしかできない行為だったので見ているしかなかった。
キーボードのタイピングの音も好きで、幼き頃、親が使っていたワープロをカチャカチャと鳴らして遊んでいたものだ。
noteで文章を発信している本当の理由は、もしかすると、ただただキーボードをカチャカチャと鳴らしたいだけなのかもしれない。
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