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DTMと楽器演奏の相互的なスキルアップ体験まとめ

DAWを使ったDTM制作を続けた結果、ジャズのセッションにおける演奏やアンサンブルに良い影響を感じられたので、その効果についてまとめてみました。※ ↓ 前回までの記事

アンサンブルにおける非言語コミュニケーション

ジャズのセッションに限らず、複数の楽器によるアンサンブルは、個々の演奏技術も重要ですが、お互いの意思疎通を基調にした音楽全体のバランス感や空気感も重要かと思います。

特に、演奏者同士の非言語コミュニケーション的な空間把握能力が求められる気がします。

セッションで言えば、ホーンなどフロントの演奏者がリクエストするテンポ感からピアノのイントロへのつなぎ、フロントのソロが盛り上がるにつれてテンポが良い意味で加速していく感覚、ベースのソロに移行した時の落ち着いてクールダウンさせる感じのメリハリ、エンディングでみんなで演奏を終わらせる達成感など。ジャズは楽譜もないし指揮者もいないので、演奏中に演奏者同士で相手の音を聴きながら示し合わせていくことが求めらるという点で、非言語コミュニケーションと言えます。

特にピアノは、ドラムやベースと同じリズム帯域に位置するため、フロントがやりたいことを汲み取って、バッキングで支えることが求めらると思います。ジャズピアニストの役割的にソロよりもバッキングを重視するという意見の人も多く、とても納得がいきます。

DTMを通じて音楽や演奏を客観的に見れるようになった

その一方、DAWを通じたDTM制作は作曲という作業の特性上、非言語コミュニケーションの機会は少なく、最近はひとりで作曲からマスタリングする人も増えているので、他人とコミュニケーションすることなく完結するケースが多いかと思います。自分はまさにそうでした。

しかし、DAWでマスタリングする際に、注意して耳を傾けている音のバランスや音響感、メロディとビートとベースのリズム的な配置、ピアノやギターでコードを抑える際に、楽曲全体を壊さないようなバランス感。これらはアンサンブルをしていると言えるし、ある意味すごくセッションに近いものを感じます。

DAWで作曲を続け、マスタリングの経験を増やしていくと、必然的に楽曲に対して客観的な視点でいられることに気づきます。例えば多くの方がやっていたりする、制作した楽曲をヘッドフォンや音楽用スピーカーやiPhoneのイヤホン、骨伝導イヤホン、Macのスピーカーなどいろいろな機器から流して、音の鳴り方を確認することなどは、リスナー目線であるぶん、すごく音楽を客観的にとらえている行為だと思います。少なくとも、自分はDTMにふれるまでは、音楽をこのように聴くことはしていませんでした。

このようなDTMの制作経験を踏まえた上で、ジャズのセッションに行ってみると、ドラムの方がどのようにホーンを支えているか、ベースの方がどのようにリズムとグルーブ感を醸造しながら安心したコード感で支えているかを、客観的な視点から耳で聴けるようになりました。

「この演奏いいな」と思うセッションやバンドはまとまりがある事にも気づきました。それは個々のプレイヤーの演奏技術が高いというよりも、全体としてまとまりや一体感があって、全体の演奏技術に限らず「聴いていて楽しい」と思える要因だったと思います。これは、ピアノだけやっていると気づかなかったかもしれません。

DTMをやっていて一番良かったのは、自分の楽器や演奏にこだわらなくなったこと

DTMをやる前はセッションに行くと「自分のソロをどう弾くか」ばかり意識していました。DTMをやっていると必然的に楽曲を客観的にとらえるようになるので、いつしか自分のピアノ演奏、特に「自分のソロをどう弾くか」に固執しないようになりました。そのセッションが全体的にまとまっていて、参加者みんなが楽しくできて、お互いの良さがアンサンブルすることを重視するようになったと自分では思います。これはバッキングに特に顕著に効果が感じられました。

そして、他人の演奏にプレッシャーを感じたり、レベルが近しい人の演奏に一喜一憂したりするような、なんとも言えない焦燥感がなくなりました。毎回、セッションでの演奏を録音していて、その日のうちに聴くようにしているのですが「リズム感やコード感、バッキングがホーンを支えられているか」を客観的に聴いて、改善にむけて何を練習すればよいかを考えられるようになったのは、自分の気持ち的にすごく楽になりました。

プレッシャーや焦燥感も上達するための必要な要素かもしれませんが、自分はそういった感情がマイナスに作用するタイプなので、良い意味で無感覚になったことで、ジャズピアノの演奏やセッションでの振る舞いが上達したので良い効果がありました。

他にもDTMで得られた効果

それ以外にも例えば
・DTMをやることで全キーに対応せざるを得なくなって結果覚えられた
・耳コピする力や、キーから外れた音を検知する能力があがった
などがありますが、長くなったのでまた次回にしたいとおもいます。

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