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kirikoの童話「やくそくにおくれたカエル」くん

みなさん、こんいちは。

kirikoの童話へようこそ。

今日のお話は「やくそくにおくれたカエルくん」です。

みなさんは友だちからドッキリのお祝いをされたことはありますか?

ドッキリはとてもおどろきますが、それよりも友だちが自分のことで、

ちゃんと計画をしてやってくれたことの方がうれしいですよね。

お祝いより、みんなの温かな気持ちを送られたってことでしょうか?

こんどのお話に出来てくるカエルくんもそんな温かな気持ちになったのでは

ないでしょうか?
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もこもこ。もこもこ。
土が少しずつもりあがると、カエルくんがひょっこりと顔を出しました。
冬みんしていたカエルくんが春になり、やっとおきたところです。
でも、でも、あれれ? 
カエルくんがまわりを見るとなんだかようすがへんです。
いつもならすっかりなくなっている雪が、カエルくんの家にだけのこっていたからでした。
カエルくんは雪をみながらくびをかしげていましたが、
「あっ!」
カエルくんはたいせつなことを思い出しました。
それは、冬みんする前にみんなと春のおめざめパーティーをすることになっていたからでした。
空を見上げると、お日様はもうすっかり頭のてっぺんまでのぼっていました。
カエルくんはいそいで近くの池で顔をあらい、お出かけ用の赤いチョウネクタイのついたふくにきがえました。
そのようすを木のえだにとまって見ていたキツツキは、『これからカエルくんがお出かけするよ』コンコン、コンコンとくちばしで木をつつき、音でしらせました。
それをはなれて聞いていたべつのキツツキも、コンコン、コンコンと木をつつき、そうして、つぎ、つぎとキツツキたちの音のでんごんは、とおくの森までつたわりました。
いきをきらせて、いそいで駅にやって来たカエルくんはえきいんさんにでんしゃがいつ来るのかたずねました。
「そうだね。あと一時間くらいかな」
えきいんさんは、カエルくんにほほえみながらこたえました。
カエルくんはでんしゃが来るまでまだ時間があったのでホッとしました。
でも、カエルくんはやくそくに間まにあうかしんぱいでしかたがありません。
でんごんを聞いた一わのフクロウが森からやって来ました。フクロウはキツツキのとなりにとまると、
「こっちのじゅんびはいいよ」
そうキツツキにつたえました。
しばらくすると、でんしゃが来ました。
でも、そのでんしゃにはあまり人がいなかったので、カエルくんはほんとうに森のえきまで行くのかしんぱいになりました。
「あの、このでんしゃは森のえきへ行きますか?」
カエルくんは前のせきにすわっていたおじいさんにたずねました。
すると、おじいさんはカエルくんにほほえみながらいいました。
「わたしも森のえきの近くまで行くからね。しんぱいしなくていいよ」
カエルくんは、おじいさんのことばにホッとしました。
おじいさんがまどの外を見ると、キツツキとフクロウがでんしゃとならんでとんでいました。
キツツキとフクロウはしんせつなおじいさんに、「ありがとう」とおれいをいいました。
「どうやら、カエルくんには良いともだちがいるようだね」
おじいさんはそういってほほえみました。
カエルくんはおじいさんにこれから森でみんなとパーティーをするのだと話しました。
でも、やくそくにおくれそうなので、きっとみんなはぼくのことをおこっているかもしれないといって、しょんぼりしました。
すると、おじいさんはいいました。
「そんなことはないと思うよ。きっとみんなはカエルくんにあいたがっているはずだよ」
「ほんと?」
カエルくんはおじいさんのことばに元気になりました。
おじいさんがえきでおりると、でんしゃの中はカエルくんだけになってしまいました。
おじいさんは森のえきは四つ目だとおしえてくれました。
でも、でんしゃは走っても走っても森のえきにつきません。
カエルくんがまどの外をみると、空がだんだんくらくなってきました。
カエルくんがやっと森のえきについた時にはお日様はすっかり山にかくれてしまい、あたりはまっくらになっていました。
カエルくんはまっくらな道をたった一ぴきで歩いたことがありません。
なので、さびしくてしかたがありませんでした。
カエルくんは泣きたくなるのをがまんして、みんなにあうためにいっしょうけんめい歩きました。
でも、やっぱりさびしさはきえません。
歩くのをやめると、まっくらな森がカエルくんにおそいかかって来るようでこわくなりました。
そこで、カエルくんは大きな声でうたうことにしました。
うたってみると、元気がわいて、また歩くことが出来ました。
カエルくんはいっしょうけんめい歩いて、やっとやくそくのばしょへやって来ました。
でも、だれもいません。
「ねぇ、みんな。ぼくだよ。やくそくにおくれてごめんね!」
カエルくんは大きな声でみんなをよびました。
すると、きゅうにパッ! パッ! とカエルくんのまわりの木々が明るくかがやきました。
カエルくんはなにがおこったのかわからずおどろいてしまいました。
「やー、カエルくん。まってたよ」
フクロウがそういうと、ロウソクをもったクマやキツネが木のかげから顔を出しました。
「おたんじょうびおめでとう」
みんなはカエルくんにおめでとうといって、はくしゅをしました。
おたんじょうびといわれたカエルくんはもっとおどろきました。
そして、みんながこの日のためにじゅんばんにカエルくんの家に雪をかけていたことをしりました。
それを聞いたカエルくんは、どうしてじぶんの家にだけ雪があったのかやっとわかりました。
「でも、どうしてぼくの家に雪をのせたの?」
「だって、カエルくんは早おきだからね」
キツツキがそういうとみんながわらいました。
みんなのやさしさをしったカエルくんは、「ありがとう」とおれいをいいました。
そうです、カエルくんはやくそくにおくれていなかったのです。
さあ、カエルくんのおたんじょう日会のはじまりです。

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さいごまでよんでいただきありがとうどざいました。

今回のお話はどうでしたか?

きっと、カエルくんのように心が温かくなったのではないでしょうか?

では、また次のお話でお会いしましょう。


サポートありがとうございます。 これからものんびりと童話を書いていきたいと思っているので、よろしくお願いします。