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スポーツマーケティングやアナリティクスの最前線、に関する雑談をコロナ前にやる(漆黒と灯火)

 というわけで、コロナウイルス禍で外出禁止が取り沙汰されて大騒ぎになる直前の3月上旬、スポーツアナリストの金沢慧さんをお呼びして「スポーツビジネスとは何か?」「スポーツを分析するとは?」という対談を、『漆黒と灯火』でやりまして。

 興行ビジネスとしてのプロスポーツはコロナウイルスの影響で当面は開催できないよということで、それでもビジネスとして継続性を維持しないといけないので大変なんですよね。

 私もかねがね言及してますが、生活にアクセントをつけるための「ハレ」として、ある種の「コト消費」の代表格であったスポーツ観戦を主体とするプロスポーツビジネス、また、それを支えるセンバツやらアマチュアスポーツは、その価値のすべてにおいてまず「動員」、次いで「チケット収入」「放映権収入」「グッズ収入」「月額会費」で成立している世界ですから、興行そのものができないと基本的に全部死ぬんですよ。

 広い意味でのサプライチェーンなんですけど、いままでのマーケティングが当たり前のように甘受していた、動員や演出や感動といったすべてが、コロナウイルスにより「感染の危険性」と扱われて否定されてしまう。これは、劇場公演もナイトクラブも映画館もゲームセンターも全部死ぬことになります。辛いけど、これ現実なのよね。

 むしろ、次の山を目指して頑張ってやっていこうという再投資の機会をうかがいながら虎視眈々と時期を待つ、と言えば聞こえはいいんですけど、どうも当初楽観視していた状況とは異なり、ワクチンができて、変異型の流行がどこまで影響を及ぼしそうかが分かるまで18カ月以上かかりそうだ。企業には体力勝負ってのはあるけれども、一切興行できず収入のないところで一年以上事業体を持たせられるところなどない。結果として、コト消費のブームに依存してどんどこ事業拡大してきたサービス業は、ここで政府がどんなに緊急対策しようと全球凍結のごとき氷河期を迎えるのです。

 さっそく、大手事業者(どことは言わない)もシミュレーションを開始して、このままメジャーリーグ(プロ野球)が試合開催できない、スポーツビジネスが展開できないというとき、どこまでオンラインで代替できるのか? という試算を始めました。まあ、結果は散々だったわけですが、自粛疲れとかいまの段階ですでに言っている状況での数字と、事実上の戦時経済になって事態が打開できるまでの状況とはまた異なると思いますし、社会も国民も危機に対してパニックになったとしてもいずれは受け入れて正常化するであろうということで、サステナブルにどうやって事業を継続させていくのかは各事業者は考えることでしょう。

 それはそれとして、勝負どころはこれからで、個人的には経済対策を打ち出すタイミングと規模、そしてそれに対する呼びかけでどれだけ国民が危機感を共有し呼応できるのかにすべてがかかっていると思います。国破れても山河あり、最後は人の和で社会が保たれるかという。

 一方で、スポーツと分析の話はどんどん技術革新をしていて、何処に付加価値を置くべきかという点ではここ数年は限りなく多くのことが分かる一方、セットプレーの少ない流動性のあるスポーツの選手評価はむつかしいよねえというあるある話に。セットプレーの塊であるバレーボールと、流れでしか解析のしようがないサッカーの間で技術に関する考え方がかなり異なるよねえという議論になりました。

 興行としてのプロスポーツは、やはり何よりもコト消費キングなので、こういうご時世であるからこそ、好きな人が好きなだけ挑戦できる仕組みを用意したいなあと思うんですよね。非常に有意義な対談でありました。


山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)
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神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント