男の価値とアイドルの写真集
初めて話すのだが、僕はオードリーファンだ。どれぐらいファンかというと、オードリーさんのラジオを毎週リアタイしているぐらいにはファンだ。その流れで、日向坂ファンだ。どれぐらいファンかというと、毎週日向坂で会いましょうを楽しみにしているぐらいには好きだ。
じゃあ、ファンの風上における人間か。いや。そんな事はない。いまだに生で見たことがないからだ。僕は日陰で涼みながらそういった芸能人を応援するのが好きなのだ。生でライブを見てもきっと地蔵と呼ばれるぐらいには微動だにしないだろうし、ゴッホの自画像を見た時と同じような反応をするのだろう。
そんな僕が、ちょっと前。2年ぐらい前だろうか。日向坂のとある方の写真集を買った。全部で200ページぐらいはあるぐらいの写真集だ。
正直、最初は僕なんかが買っていいんだろうかという気持ちでいっぱいだった。僕以上にその子の事を応援している人だっているし、彼氏はいないだろうけどその人が自分の写真集を1番見せたい人だっているだろう。そこに、日陰で応援している僕が介入していいのだろうかという疑問が湧いて、なかなか買えずにいた。
結論から言うと、買った。Amazonで。
我ながら、僕らしい買い方だと思う。ちゃんと胸を張ってファンだと豪語できる人は人の目なんか気にせず本屋さんで予約するだろうし、なんなら鑑賞だとか布教用だとか言って4〜5冊は買うのだろう。だが、僕は普通用に1冊だけ買った。普通用ってなんだろうって思った方。普通用は普通用だ。本は読む物だ。
ネットショッピングは結構利用する方だが、家にそれが届いた時はやけにソワソワしたのを覚えている。僕は今まで小説と哲学書とビジネス書しか読んだ事ないから、ぴっちりと梱包されたフィルムの開け方すら困ったぐらいだ。ネットで「新書 フィルム 開け方」って検索したら、爪切りを使って開けると中身が傷つかないと書いてあったのでとりあえず爪切りを探してフィルムの角に刃を入れた。
とりあえず、テーブルに開封した写真集を置いて、僕は腕を組んだ。そして、意を決して写真集を開いた。いろんな写真があった。普通の旅行みたいだなって思う写真から、これどういうシチュエーションだよwって思う写真までいろいろとあった。一通り読み終えた後。僕は困った。
僕は、写真集の楽しみ方を知らなかった。
どうせ買ったのならそれを余す事なく楽しみたい。それは、僕のポリシーだ。
小説だったら、どうしてこの登場人物はこの言葉を使ったのか知りたいし、哲学書だったら自分の頭で理解してそれを誰かに説明できるぐらいには自分のものにしたい。歌だったら…まあ、これはいつしかnoteで話しておきたい感性なのでとりあえず閉まっておこう。その時が来るまで、ひたすら磨いておくことにしよう。(感性って磨くものなのか?だめだ。哲学とボケたがりが邪魔をする。)
さて、話を戻そうか。僕には、写真集を楽しむ脳と引き出しを持っていない事に読んでから気がついた。自分でも愚かだと思った。こんなんじゃ、日向坂ファンを語れないよ。って思った。
僕はとりあえず、ネットで「アイドル 写真集 楽しみ方」と、ネット検索をした。そしたら、意外と同じ事を考えている人がいて、質問掲示板に同じ悩みを書いている人がいた。そこに寄せられた答えを、僕は隅から隅まで見た。
以下、その掲示板に寄せられた答えに僕が思った事一覧。
写真集に顔を近づけるとキスしているみたいになるのでオススメ……別に、僕はその子に恋愛感情を抱いていない。そもそも、キスをしたい感情ってなんだろう。
TVなどで見せない表情を見るのが楽しみなんじゃない?……作られたものじゃん。仕事じゃん。それって本心じゃないじゃん。
妄想をする……可愛い以外の感情が出てこないんですけど、もしかしておかしいのはこっち?
仕事前に見る……当時はまだ大学生だったが、そんな時間的余裕はない!
ダメだ。ネットのコメントを見れば見るほど、自分の心の汚さが露呈する。
そもそも、僕がその写真集を買ったのはこの子を応援したいなと思っている推しが出した作品だからであって、別に変な下心も無いし、そもそも女性との触れ合い方も模索中なのにこんな物を買ってもそりゃ困るだろ。それに、推しはテレビで見ようが生で見ようが可愛いのだから、それ以上の感情なんて湧かないしそれからどうこうなんて考えたことなんて無いんだから、写真集なんて買った所で楽しめないことぐらい考えてみればわかる事だった。
とりあえず買ったし、また気が向いた時にでも読めばいいかと諦めようとした時、1つのネットコメントが目に飛び込んできた。
写真集なんて、単なる推しのコレクションです。応援したいと思っている人の物を持っている事に価値があるのです。
なんか、このコメントが1番腑に落ちたしこのコメントを腑に落とさなきゃいけない気がした。
僕に限らず、人には「この人のことを応援したい!」という情熱に似た何かが存在している。それがどこから来る物なのかは分からないけれど、応援したいアーティストがCDを出したら買う人がいるし、応援したい慈善事業団体がいたらそれをSNSで拡散するべきだし、応援したい人と生で会えるのなら頑張ってくださいと直接的に言うべきだ。
そうする事で、推された人は余裕が生まれる。金銭的にも、精神的にも。それが明日への活力になるのなら、それが幸せと名付けられるのだろう。
僕の推しがアイドルをいつまで続けるかは分からないけど、アイドルを卒業しても、仮に日の目を浴びない所で活躍していたとしても、その子の事を応援はしようと思う。僕が写真集を買ったのも、その応援の一つの形なのだ。
そして、男なら応援の言葉を、相手の目を見て直接言えるようにはなっておきたいなとも思った。
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