華の都パリでのちょっとした不便
パリの街並みはとても美しくて、多くの人たちが憧れてこの街を訪れます。一方、「パリ症候群」という言葉があるくらい、憧れて長期滞在を計画して来たはいいけれど、美しさを優先するがゆえの不便さに耐えられずに、鬱になったり、自律神経失調になったりと、裏側では、苦労をする人も。
私が初めてパリで宿泊したホテルは、外観はとても素敵な古いアンティークな建物で、アメリが見つけた手紙が出てきそうな雰囲気のところでした。
チェックインをすませて、4階建の2階に向かおうと、エレベータに乗った時点で、「・・??」となった。エレベーターは、1.5人乗りくらいのサイズで、1人乗ればぎゅうぎゅうで、おおきめのスーツケースは入るか入らないかくらい。
私のスーツケースは入らなかったので、担いで登りました。まずここでカルチャーショック。パリでは、建物の構造に合わせて無理やりエレベーターをねじ込むので、螺旋階段の間とか、ちょっと変なところにあったりします。なので、新しいビル以外の建物で、あんまり普通のエレベーターをみたことがない。大体、1人乗り〜大きくて3人乗りくらい。笑うしかないくらいの面白いエレベーターがそこかしこにいっぱい。
部屋に入ると、トイレとドアとの位置がちょっとおかしかったり、ドアが若干曲がっていて開け閉めしづらかったり。この時点でまあまあ不便さを感じました。
街に出ると、移動時、地下鉄では階段ばかりでなかなかエスカレーターやエレベーターがありません。全然バリアフリーではなくて、おじいちゃんおばあちゃんはどうやって生きて行けるのか・・・と思っていたら、パリの街ではバスがとても充実していて、あまり心配はなさそう。とはいっても、ベビーカー担ぐお母さんとかは、やっぱり大変そうです。
地下鉄では、やっとエスカレーターを見つけたかと思ったら壊れていたり、3つあるうちの自動ドアが2つ壊れていたりと、公共のものが壊れていても、誰もあんまりなおす気がなさそう。これっって、街の美しさを優先するために犠牲になっている便利さとちょっと別物だよね😅と思うような時もしばしば😅😅
私は、このあたりの不便さは、もともとの実家がかなりアンティークだったため慣れていて気にならなかったのですが、一番神経を使ったのは、スリやひったくりにあわないようにすること。常に気を遣っていました。
予備知識をもちつつ、パスポートやお財布等は、上着の下ではなく、更に洋服の下に首からぶらさげて持ち歩くように。スマホは電車の中、とくに電車入口付近では使わないように。等々、色々と気を遣って過ごしていたのですが、それでも、ポルト・ド・ヴェルサイユでのwho's nextの展覧会の帰りで疲れていた時に、地下鉄でちょっとうとうとしていたら、治安が悪いからあまり近づかないように、と言われていた北のほうまで来てしまった時の事。
「ああまずい、戻らなきゃ」と思って降りたホームは寂しくて、ちょっと酔っ払ってる風のお兄さんがいたりと、なかなかドキドキでした。
反対の電車に乗り込むと、女性と黒人さんが一人づつ。うとうとしないようにと思っていても、初めての土地での展覧会中日はとても疲れがたまっていて、またウトウト。ハッと気がつくと、ものすごい力で引っ張られていて、咄嗟に引っ張り返してわあわあ大声を出しました。見ると私のポーチを黒人さんがぐいぐい引っ張っていて、ああ、私、もう予定している日に帰国できないかも、と頭をよぎり、ついでに、バスや電車で切符をなくしたりすると、たとえそれがスリやひったくりにやられたとしても、35ユーロ(だいたい4500円)の罰金があることを思い出して、お財布もパスポートもなかったらどうやって支払うんだろう、と、踏んだり蹴ったりな1時間後の自分を想像しました。
とにかくわあわあ叫んで、ものすごい力で引っ張られるのを引っ張り返して、とやっていたら、次の駅でそそくさと出て行った黒人さん。遠くに座っていた女性が、あなた大丈夫?と声をかけてくれている風でしたが、胸がドキドキしてそれどころではありませんでした。
ポーチをよく見ると、なんと、紐の部分が焼き切れていた😰。その時の私は疲れていて、いつも洋服の下に入れているポーチを、上着の下にしていたみたいで、紐の部分まで見えていたのでした。でもそれを焼き切られるなんて流石に想像していませんでした。気がつかないくらい私が深く眠ってしまったのか、黒人さんの腕が良すぎたのかどちらかわかりませんが、あとで、パリ在住の友人にその話をすると、「無事でよかった!車両のなかだったからよかったね。もしこれが寂しいホームとかなら、まずは殴って気絶させてそれからとられてしまうから、上着の下にいれていようが関係ないのよ」と・・・。
気絶させられるくらい殴られた事ないので背筋が凍る思いでした。あの寂しいホームで遭遇しなくて本当によかった!
黒人さんの場合、単独犯で力技でしたが、一方、ヒッピー系のスリの集団があるということも聞いていたので、それも気をつけました。彼らはチームプレイなので、子供が話しかけてきて、気を逸らされているうちに反対がわのカップルが巧妙にスリをする・・・ということもしばしば。とくにオペラ付近で多いと聞きます。
チームプレイの集団からの被害はうけませんでしたが、電車に乗っている時に、すごく不自然にぶつかってきたヒッピーなお兄さんがいました。もしかしたら、お財布確認をされていたのかも・・・これって、偏見かなぁ、と、これもパリ在住の人に聞くと、いや、偏見じゃないから、引き続き、よく気をつけていてね!と言われました。
いつどこで取られるかわからないから、常に気をつけていよう、という感覚は、日本では殆どあじわうことがないので、パリ初心者にとってはとにかく神経を使いました。その点、お財布を落としてしまっても、次の日には返ってくる率が高い日本は、本当にいい国😅
コロナが落ち着いてこれからパリに行く人は、そんな側面もあるので、とくに貴重品には神経質すぎるくらいの気を遣いながら、華の都をたのしみましょ!😉
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