パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂 in アーティゾン美術館
こんにちは。
アーティゾン美術館で開催されている「パリ・オペラ座」に行ってきました。
定期的にバレリーナの友人からの解説付きという豪華な1日でした。
いつも姿勢が良いので隣を歩くと釣られて背筋に力が入ります。良いことです。
写真NGのものが多かったので写真少なめです。
オペラってなんだっけ。そこから始まる。
オペラに縁がない人生だったので、そもそもオペラってなんだっけ、というところかは始まります。Wikipedia先生とGoogle先生に教えてもらいました。
それってミュージカルなんじゃないの。
オペラとミュージカルでは、発声法、使用される楽曲、重視される点、舞踊が大きく違うようです。オペラではなんといっても歌唱力!
オペラはセリフ含めて全て作曲されるのでまさに「歌劇」なんですね。
そして舞踊はバレエに、セリフや歌がある人と分業されていることが特徴のようです。
知らなかったです。
オペラもバレエの起源はルネサンス期のイタリア。(勝手にフランスだと思ってた!)宮廷文化の中で発展していったそうです。
友人の親切な解説付きにも関わらず、バレエ?オペラ?とこんがらがってしまいましたが最後まで丁寧な解説をしてくれた友人に感謝あられです。
パリ、オペラ座
パリにある歌劇場。
知見が全くありませんでしたが、オペラ座はパリの観光名所として思い浮かべるオペラ座のことだけを指すだけではなく、「歌劇場」のこと全般を表すのですね。
パリのオペラ座を指す固有名詞でもあるので、単純に「オペラ座」といったらパリのあそこなのでしょう。
(歌劇場全般を指す場合は、地名・オペラ座、と呼ぶらしい。パリ・オペラ座、ローマ・オペラ座とか)
今回の展覧会ではその中でもパリに鎮座する「パリ・オペラ座」の変遷を見ることができました。17世紀に設立されたパリ・オペラ座から始まり、消失や歴史の事件によって建て替えなどを繰り返して、数多の戦争や不安定な時代を超えて現在のオペラ座につながっていきます。
フランスのオペラ発展には、時の国王ルイ14世がバレエに熱中していたことも大きく影響しているようです(演者として)。王立舞踏アカデミーも作っています。
自分の足にとても自信があったので足を出す衣装を考案したようです。それ以降、男性も足を出したタイツスタイルになるなど、その発展に大きく貢献したようです。(友人談)
文化の発展には、国がそこにお金を落としまくるというのが重要なのですね。
ルイ14世の衣装スケッチが展示されていましたが、確かに美脚でした。
現在のパリに鎮座するのは1875年に建てられた「ガルニエ宮」と呼ばれるオペラ座です。
設計者はシャルル・ガルニエ。
設計者の名前が付けられているなんて素敵ですね。
当時は無名だったそうですが、厳正なるコンペで選ばれたとのことで、とてもびっくりしました。無名の若者(35歳くらい)がパリの重要建築物の設計に選ばれるなんて、さすが芸術の都というべきでしょうか。
ガルニエの設計図や縦断面図が展示されていましたが、パソコンもない当時の設計図です。手書きで書かれた大きな設計図は、もはや変態の所業です。細かいだけでなくて美しい。
手抜きのない、ずっと見ていたくなるような設計図でした。
設計現場の油画も飾られていましたが、馬車が描かれていました。当たり前ですが建設当時はまだ自動車や重機もないんですね。
そんな時代に建てられたんだと、改めてびっくりしました。
ピラミッドや法隆寺なども当然、自動車もチェーンソーもない時代なわけで、「人間ってやろうと思えばなんでもできるんだな」という感想が溢れました。
印象的だったのが、舞台美術を作っている様子を描いた油絵でした。
スケッチもたくさんありました。でも作者の名前はわかりません。
舞台美術家がいる裏にもたくさんの名もなき職人がいる。その職人たちの姿が描かれていたのがとても印象に残っています。
今の舞台でも大道具さんや衣装さんの名前は出てきません。それでも彼らは確かにいるのですね。パリのオペラ座にも、日本にも。
オペラ座を描く画家
オペラ座での日々はたくさんの画家が描いています。
中でも、大きな油画。ウヴェーヌ・ジローのオペラ座の舞踏会が印象的でした。
たくさんの人が悩みも嫌なことも全てをオペラ座の外に一旦置いてきたような、狂乱の。楽しそうなのに、なぜか崩れそうな危うさも含んだような絵がとても好きでした。(撮影NG)
映画タイタニックのジャックとローズが三等用客用のダンスパーティーでアイルランド民謡の楽器演奏と喧騒の中で踊っているシーンと似たような印象でした。
ローズには婚約者がいる。婚約者のことを愛していない。ジャックと身分の格差がある。変え難い問題を抱えながらも、あの空間では全部外に置いて今は楽しむ。
オペラ座の舞踏会に訪れていた人たちも、もしかしたら。
そしてオペラ座は人々にとってそういう場所だったのかな。
オペラというと、ステージ中央で女性が高らかに歌い、暗がりの中に1人の星を照らすスポットライトという印象でした。
(大好きな映画「The Greatest Showman」の影響が強い)
いろんな国の題材が取り扱われているんですね。
エジプトのクレオパトラや東洋のような舞台装置は面白かったです。ちょっと近寄りやすくなったかも。
近代に近づくにつれて、前衛芸術の画家が舞台装置や衣装デザインに携わるようになりました。パリの芸術への懐の深さというのか、変化の潮目を抑える審美眼というのか、びっくりしました。
今までのあの緻密精巧な舞台装置スケッチから、前衛芸術家の抽象的なスケッチに変わったのを見ると、当時でもこの転換にはびっくりした人は多いんじゃないかと思いました。私はとてもびっくりしましたよ。
その前の「可能な限り歴史的に正確な幻想を作り上げること」という信念もかなり美しいと思いますが、変化を取り入れることも重要なんですね。
シャガールの天井画
オペラ座の天井画は、戦後に改装されています。
パリに鎮座するネオ・ゴシック形式の重厚感あるガルニエ宮の天井画は、シャガールの軽快な夢の中のような絵になりました。
当時、シャガールが手がけると公になってから、かなりの批判があったようですね。
(なんとなくわかる)
階級社会、戦争。そのパリの歴史を見てきたパリのアイコン、オペラ座。
その天井を、一見場違いともいえる軽やかなシャガールが明るく彩る。オペラもバレエもパリの街並みもみんなまとめて空を飛ぶような軽快さで。
小学生の頃に母に連れられていったシャガールの展覧会は、人の首とれていたり、馬が飛んでいたり、ぼやぼやして色もよくわからなくて怖かったです。
大人になってから見ると、「そうだね、これは夢のようだ。優しい絵だ。」と腑に落ちるというのか、落ち着いた心で見ることができました。
シャガールの絵を見るには、枷になるような重みが必要だったのかもしれません。だから母はあの時感動していたのかな。
シャガールはこの大役を任された時、そして多くのメディアや市民から批判された時、一体どいう気持ちだったのでしょうか。
歴史の重圧と期待。それでもシャガールの絵は軽やかなければならなかったのでしょう。問題や重力なんてものをいったんオペラ座の外に置いていくような、優しい夢のような絵になったのでしょう。
一昔前の画家たちが描いたオペラ座の絵のようだと思いました。
シャガールの絵はお披露目後、素晴らしさに聴衆を魅了したそうです。
これは是非ともオペラ座で本物を観てみたいです!
バレリーナのつま先立ち
バレエ。高尚な近寄り難い芸術。
友人がバレリーナをやっていますが、姿勢が良くてお顔が小さくて手足が長い、という偏見か事実か入り混じったような知識しかありませんでした。
バレエやオペラの解説を入れてくれるのでとても助かりました。
バレリーナがつま先立ちになったのは、「異界」を表すためだったことに驚きました。
確かにバレリーナの動きは重力がないようで軽やかで、自分の世界にとても落とし込めないような軽快さがあるな、と思いました。
人間は地面に足をついていて、妖精は爪先立ち、など役割によってポージングが分かれていたそうですが、次第に人間もつま先立ちをするようになったそうです。
バレエといえばロシアが一大勢力とのことですが、なんとロシアではバレリーナは国家公務員だそうです。有名な団体で踊るには免許が必要になるそうです。
自国の文化として手厚いんですね。日本も伝統工芸師や職人が国家公務員になればいいのに。
今までバレエもオペラも遠い世界でしたが、この度バレエとオペラに縁ができたということで、今年バレエの公演を見てみようと思います!楽しみです。
パリ・オペラ座との縁
卒業旅行でパリに行きました。
もう8年ほど前で時の速さに驚きます。
今はなきノートルダム大聖堂。ルーブル美術館、エッフェル塔、ショコラ。そして友人がどうしてもいきたいと行きたかった、パリ・オペラ座!
なんとお休みで入れませんでした。
お休みとかあるんですね。リサーチ不足が悔やまれます。
オペラ座はお休みでしたが、さすがは華の都パリ。その街並みは美しかったです。
イタリアを回った後のパリだったのでお金がなく、やたらと美味しいクロワッサンを食べてました。本当にその辺のお店で1€で買ったものも全部美味しかったです。
セーヌ川に座って、マルシェで買ったパンを食べて。あれは素敵な思い出です。
思い出のパリ。
オリンピックが2024年にあります。再訪を目論む。
物販コーナー
オペラ座の外観のポストカードがない!
というかポストカードが2種類しかない!(ドガとマネの絵)どうして!!!
衣装のスケッチやガルニエの設計図などなど、絶対買うぞ〜とワクワクしていたので、物販はちょっと残念でした。
素敵な図録があったのですが本棚がないので断念しました。買っとけばよかったかな。
8年前のあの日、オペラ座に入れなかった友人にプレゼントとしてオペラ座直輸入トートバッグを買いました。ちょうど2月は誕生日だったので、そちらにかこつけて贈ろうと思います。
今は神戸で子育て真っ最中の友人。
パリに行けるのは子どもが大きくなってからになるかもしれないですが、今度こそパリ・オペラ座に行きたいです。
オペラ鑑賞用のドレスと小さいバッグ、ヒールを持っていかなきゃね。
オペラを見て、幕の間に天井を見上げてシャガールの夢を拝みましょう。
アーティゾン美術館
初めて行きました。
東京駅八重洲口から徒歩9分ほどの便利な駅近美術館です。
創設者、石橋正二郎。
家業の仕立て屋さんからゴム靴、そして自動車タイヤの国産化に成功しました。
「世の人々の楽しみと幸福のために」を信条に、収集したコレクションの美術館を作ったそうです。
石橋さん…?
そう、ブリヂストンの美術館です。
東京の便利な一等地に素敵な美術館があったなんて知りませんでした!
建物もバキバキにかっこよくて広い天井高と時どきある芸術作品が、特別な場所感を高めています。
発色を抑えた金色の壁のエレベーターや壁面、手をかけたタイル。トイレのサイン。
細々と手抜きがなくて美しいと思っていたら、HPに建物へのこだわりがしっかり書かれていました。
こだわったものは美しいですね。
ミュージアムカフェもあったので今度はぜひそちらも行ってみたいです!
展示情報
パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂
アーティゾン美術館
2022/11/5-2023/2/5
立ち方がバレエをやっている人が多い、とバレリーナが言っていました。
確かに、みんな姿勢良かったです。
解説文のカタカナや用語で目が滑ってしまって、かなりのんびりとした鑑賞でした。
手抜きのない、職人の技を見るのはいいですね。
私もそうでありたい。精進します。
切り絵作家 ひら子
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