見出し画像

少女の聖域vol.2|霧とリボン|薄闇を駆ける

画像1

Text|Kayoko Takayanagi

 ポプリ。この可愛い語感の言葉は、仏語で”ごった煮料理”を意味する「pot-pourri」に由来するという。花や香草、香辛料や精油などを混ぜ合わせ、壺などの容器の中で熟成させて作る室内香は、英国ではエリザベスⅠ世の時代に大流行したとのこと。
 日本では70年代後半に紹介されて後、生活の中で身近な存在となった。

チョコミント_01

 ポプリというと、材料を混ぜただけのものと考えていないだろうか。
 実はポプリに於いて一番重要なのは「熟成」という過程なのである。
 単に混ぜただけでは、それぞれの香りが主張するだけで馴染まない。それを渾然一体とした新しい香りに昇華させるためには、熟成という時間が大切なのだ。
 時を止めるのではなく、動的に経過する時間と共にあるのがポプリである。

霧とリボンページ

 霧とリボンが創り出すポプリは、これまでのポプリの概念を超えてひとつの宇宙を形作っている。
 室内香というインテリアの一環としての存在ではなく、作品としてのポプリ。展覧会のテーマ毎に生み出されるポプリは、美しい小瓶の蓋をそっと開ける度に、香りの言葉で奥深く豊かな物語を語り出す。
 小瓶の中に流れる独自の時間は、忙しい日常の中にゆっくりと深呼吸をする機会を与えてくれる。

チョコミント_04

 少女に相応しい香りは何だろう。
 馥郁たる薔薇か、可憐なラベンダーか。
 いやいや、ここはひとつチョコミントとしよう。
 アブサン色のミントリキュールを一滴、ほろ苦いカカオと共に所望する。
 少女は明るい陽の光の下に在るだけではない。薄闇の中、静かに駆け抜ける激情もまた少女のものなのだ。

チョコミントM_03

 花や香草の香りを楽しむだけがポプリではないとはいえ、ポプリの香りにチョコミントを創造するなんて、誰が考えつくだろうか。
 この発想こそが霧とリボンたる所以と言える。
 小瓶に封入されたポプリは、置くだけで受動的に香りが漂うのではなく、能動的に蓋を取って香りを嗅ぐことで、はじめてその世界を体感することができる独自のものだ。
 さあ、蓋を開けて、薄闇を疾走する少女と共に聖域に赴こうではないか。

 オンラインの試香の文法、香りの印象を綴る《ムエット・エッセイ》をお届け致します。香り選びのご参考にして頂けましたら幸いです。

ムエットエッセイ

画像2
画像3
2107_会場_霧とリボン_01
画像4
2107_会場_霧とリボン_02

霧とリボン|服飾・小間物ブランド →HP
「物語を身につけよう!」をコンセプトに、愛書家の日々を美しく彩るオリジナルの服飾品やオーガニック紅茶、小間物類を制作販売。最近は書物を紐解くように香りと対話するポプリの提案に力を入れている。2008年活動スタート、2015年オープンした「菫色」の色彩と世界観にこだわった直営SHOP《Private Cabinet》では、文学・アート・モードの世界を横断する展覧会を開催している(現在実店舗は休業中)。会員制社交クラブ《菫色連盟》やオンライン上のアート・プロジェクト《モーヴ街》の活動も行っている。

★2020年オンライン開催《少女の聖域》展アーカイヴ

★高柳カヨ子note連載《少女主義宣言》関連記事



00_通販対象作品

ブランド名|Du Vert au Violet
作品名|架空のアブサン酒「チョコミント・デカダン」2種


短歌|Mistress Noohl

ポプリ調香&デザイン|霧とリボン


セット内容|
ガラス小壜入りポプリ(リボンとスワロフスキーの装飾)
ペーパードイリー(表:銀箔押し/裏:菫色ストライプ柄)
短歌シート
ムエット・エッセイ・ノートレット(ミシン目入り・8枚分)
アブサン色ベロア巾着
解説リーフレット
バイカラーオリジナルボックス入り
サイズ|
[ガラス壜]全高:約10.8cm
[外箱]14cm×8cm×5cm
制作年|2021年(新作)
*ブランド名は霧とリボンが運営する「架空のアブサン酒専門店」の名称となっています
*ポプリの楽しみ方、原料などの詳細はオンラインショップに掲載しています。
*本物のお酒ではありません。

チョコミント_02
チョコミントB_04
チョコミント_05
チョコミント_03

00_MauveCabinet_ラスト共通


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?