マガジンのカバー画像

少女の聖域vol.3〜魔法大全

24
オンライン開催 霧とリボン企画 高柳カヨ子プロデュース《少女の聖域vol.3〜魔法大全》|2022.9.2〜9.9|魔法少女に変身しなくても、少女は既に魔法を内包しています。幾多… もっと読む
運営しているクリエイター

#絵画

少女の聖域vol.3|展覧会のご案内

オンライン開催 at MAUVE CABINET 【9/4〜9/6は配信お休み】 ★ 霧とリボン実店舗は休業中のため ご入場頂くことはできません  9月より、霧とリボン オータム・シーズンがスタート。  シーズンの幕開けを飾るのは、精神科医 / 少女批評家の高柳カヨ子先生プロデュースによる恒例のシリーズ企画展《少女の聖域》。  15組の多彩なアーティストが魅惑のテーマ「魔法大全」に取り組みます。  本展では、15組の作家作品を高柳カヨ子先生のエッセイと共にご紹介。個性豊か

少女の聖域vol.3|トレヴァー・ブラウン|少女が少女で在るために

 少女は戦う。誰のために?  少女は変身する。何のために?  少女は少女で在るために、魔法をかける。  ラバースーツに身を包み、クラゲのスカートを揺らしながら、呪文を唱えれば、もう怖いものはない。  思いつく限りの魔法のアイテムは既に手に入れた。古今東西、良きものから悪しきものまで。  3回目の開催となる《少女の聖域》のメインビジュアルを飾ってくれるのは、今回も引き続きトレヴァー・ブラウンの作品である。  可愛い、不気味、残酷、脆い、強か。少女のあらゆる側面をあるときはフ

少女の聖域vol.3|麻生志保|花化粧、花幻想

 化粧とはある種の魔法であると思う。  化けて粧う。そこには少女ならではのまやかしが潜んでいる。  そう、その背後に密かに見え隠れする尻尾のように。  黒猫か、はたまた人外の存在か。  互いに紅を差し合う少女たちは、一面の罌粟が咲き乱れる中で戯れる二匹の美しい獣のようだ。人のかたちを保っていられるのは、束の間の幻想。  菫色の帷の向こうで行われる化粧という秘め事は、魔法以外のなにものでもない。  紅は真紅の罌粟の花弁を磨り潰したものだろう。罌粟はもちろん禁断の植物である。

少女の聖域vol.3|青木瞳|謎は解かれなくていい

 魔法の一種にまじないというものがある。  まじないを呪いと書いてしまうと悪いもののように思われるが、本来まじないという言葉には、良い意味と悪い意味の両方が含まれている。  魔法自体、白や黒など色分けされたりもするが、使い方によってはどちらにも転ぶ両義的なものなのだ。  小さな画面の隅々までびっしりと描き込まれた青木瞳の作品は、細密画と呼ばれるに相応しい。  シンメトリーにデザインされた世界の中で、不思議な生き物が蠢き、髪が絡みつく。それはまるで永遠に終わらぬ呪文を唱え続け

少女の聖域vol.3|DAY 1

本記事はオンライン展覧会《少女の聖域vol.3〜魔法大全》DAY 1の配信記録です。 * Text霧とリボン  密やかに魔法書を紐解くにふさわしい秋陰の一日。霧とリボン オータムシーズンの幕開けを飾る展覧会が本日開幕しました。初日の今日、ご高覧下さいました皆様に深く御礼申し上げます。  精神科医・少女批評家の高柳カヨ子先生をプロデューサーにお迎えして定期開催してきた本展も今回で三回目。「魔法大全」という魅惑のテーマの元、15組のアーティスト作品が秋風にのって菫色の小部

少女の聖域vol.3|Riho Kurokawa|生暖かく優しい暗闇

 単眼や多眼の不思議な生き物が跳梁跋扈し、血の川が流れる仄暗い世界で、魔法は熟成される。  異形の少女たちが唱える呪文は、形を得て世の理を壊し、地平を塗り替える。  Riho Kurokawaが描くのは、この世の裏側にひっそりと息づくもうひとつの世界。光のように言葉が降り注ぎ、暗闇から命が生まれる。  画面の中に多層的に折り込まれた謎を紐解くと、失われた記憶が蘇り、物語が動き出す。  さあ、思い出してみよう、彼の地の記憶を。  山が燃え、羽が生えた獣が飛び交う夜、魔女たち

少女の聖域vol.3|綺朔ちいこ|色彩と線

 夜の魔法。  鏡に映るのはだあれ。  秘かに忍び込んだ部屋の鏡台には、可愛くなるための魔法が揃っている。背伸びをして取り繕わなくても、わたしはわたし。誰のためでもなく自分のために、リボンを着けてドレスを纏う。  脂粉の匂いは嫌い。あのひとはいつも誰かのために綺麗になる。わたしの知らない誰かのために、鏡の前に座り続ける。   夜になればあのひとは出かけてしまうから、わたしが鏡を独り占め。可愛くなるのに理由はいらない。鏡台に並べられた色とりどりの魔法をひとつひとつ試してみ

少女の聖域vol.3|DAY 3

本記事はオンライン展覧会《少女の聖域vol.3〜魔法大全》DAY 3の配信記録です。 Text霧とリボン  秋の曇り空から、キラキラ降り注ぐ雨。まるで、少女たちの魔法世界を祝福しているかのよう。  三日間のお休みをはさみ、高柳カヨ子プロデュース展は、本日より会期後半がスタートしました。DAY 3の本日、お好きな時間、お好きな場所から、オンライン展覧会をお楽しみ下さいました皆様に深く感謝申し上げます。  プロデューサーの高柳カヨ子先生のnote連載《少女主義宣言》を毎週楽

少女の聖域vol.3|chigusa|ガーディアン・ラビット

 魔法使いに眷属は欠かせない。  魔術師というと男性のイメージが強く、魔女なら女性となるが、魔法使いは性別を問わない。  すべからく少女は魔法使いであり、魔法使いは老若男女誰でもなる資格があるのだ。  ふわふわのうさぎたちは、少女の相棒に相応しい。  こちらの元気一杯のうさぎは、少女の周囲を駆け回り、お洒落の相談にものってくれる。色とりどりの宝石の欠片は、少女の夢や願いを詰め込んだ冒険の道標。  虹色の軌跡を描く魔法の呪文を唱えて、相棒のうさぎと共に旅に出よう。  その先