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親父が遺したもの

親父が亡くなって9回目の命日。
もう9年なのか、まだ9年なのか、昨日のようで遥か昔の気もする。

口数の少ない親父だった。
表現力に乏しかったからなのか、酒を飲んでは毎日のように母親と揉めていた。
子ども心に嫌な想いもたくさんあった。
口数の多い母親から親父の悪口は山ほど聞いた。
酒の力を借りないとストレスを発散できなかったことは理解しても、心のどこかで親父を見下す気持ちで接していたのは確か。

でも、最近になって、親父の気持ちが実はこうだったのではないかと、想像できるようになってきた。
自身の一所懸命に寄り添ってくれる人が居ない寂しさやもどかしさ。
当たっているかは分からない。
でも、親父が単に酒が飲みたいだけで飲んでいた訳ではなかった気がするのだ。

あと何年先になるかは分からないけど、あの時代に抱いていた気持ちを親父に会ったら聞いてみたい。