「私が虐待サバイバーだった」と気づくきっかけをくれた本
これは、ハートエデュケーションセンターのセラピストコースの課題図書だった本
この本を読んで、逆境的小児期体験(ACE)という概念をはじめて知り、ショックを受けた。
この本に登場するケースは、どれも私のインナーチャイルドたちを刺激して、なかなか読みすすめるのが大変な本だった。
この本のケースを読むうちに、これまで麻痺させてきた幼い頃の感情、感覚が蘇ってきて、本を中断し、インナーチャイルドの声に耳を傾けざるを得ないということが、何度も何度もあった。
重篤なものから軽度のものまで、さまざまな小児期逆境・トラウマが、その後の心身の健康や人生に大きな影響を与えるという研究結果やその脳内のメカニズムが書かれている。
私や私の周りとも照らし合わせても、すごく納得できる内容だ。
私は妊娠中、高血圧の症状が出たり、原因不明の中期流産をしたりした。
また、思春期からは異様に体毛が濃くなり、男性並みに毛深い。
私のすぐ下の妹は、三十代を過ぎてリュウマチの症状が出て、てんかんにもなった。
両親ともに高血圧で、父親は痛風に悩まされ、母親は更年期障害が重かった。
祖父は脳溢血、祖母は長年、リウマチを患っていた。
小児期のトラウマが、身体を蝕み、将来の健康を脅かすという事実。
驚愕だが、すごくすごく納得できた。
また、私はこの本を読んで、今までやり過ごしてきた自分の過去をもう一度、見つめ直し再体験していたのだなと感じる。
私がこれまで親や祖父母から受けてきたことは、私の生きづらさの原因がそこにあるとは感じながらも、どこの家庭でもあることでたいしたことではないとも思ってきた。
だから、「普通の家庭に育ち、人並みに幸せに暮らしてきたはずなのに、私はなんでこんなに苦しいんだろう。こんなに人が怖いのはなんでだろう」と疑問に感じ、それが心理学を学ぶきっかけになった。
心理学を学んでも、まだ心の奥では私自身の繊細さの問題だと思い込んできた。
でも、この本を読んで、小児期の予測不可能なストレスがどれだけ、人の脳内システム、身体に悪影響があるか、よく理解できた。
これは、自分の小児期逆境体験(ACE)のスコアを知るための質問。
最初、個人セラピーを受け始める前の私のACEスコアは2だった。
それが、セラピーが進むにつれて、
・父親から受けた「しつけ」が身体的虐待にあたること、
・母親に助けてもらえず、SOSを無視され続けたことは、ネグレクトにあたること
を理解し始め、それらを受け入れ、その痛みに寄り添ってきた。
改めて、ACEスコアをしてみると、点数は4まで上がっていた。
自分に起こった真実をそのままみるのは、とてもつらい。
だけど、同時に、自分の中に「やっぱり、そうなんだ」という安堵感が広がり、体がゆるんでいったのも不思議な経験だった。
セラピーと同様に、この本でもたらされる事実も、今まで隠してきた痛みと、やっとそこに触れられる安心感が同居する感覚を私に与えてくれた。
傷があったら、治療が必要という、とってもシンプルな理解も、ようやくハートにすっと入ってきた。
そして、小児期トラウマが目に見える形で、実際に脳内のニューロンを断絶させ、誤作動を起こすという過程もびっくりはしたが、納得いくものだった。
小児期トラウマを抱えている人たちは、それを自分のせいだと感じ、大なり小なりの罪悪感を持ち続ける。
私もそう。
少しずつ解放してきているけど、いまだに、罪悪感は根深く残る。
だけど、それは自分のせいではなく、小児期に予測不可能なストレス(重篤なものにせよ、軽度なものにせよ!)を経験してきたためということが、科学的にも証明されたことは、私たちのようなサバイバーにとっては、大きな光だ。
そして、何歳になっても、かつて断絶されたニューロンは成長でき、再結合も可能だということ!!!
それには、瞑想とセラピーが有効だということ!!!!
これは、セラピーを受けようとする者にとって、とても勇気が出て、後押ししてくれる事実だ。
私自身、この約3年間、個人セラピーとハートエデュケーションのクラスを受けてきて、少しずつ、過去に断絶した真実をつなぎ直す、認知能力を育み直してきたという実感がある。
痛みを伴う真実もそのまま受け入れること。
それはそれとして、自分の価値とは切り離すこと。
過去を過去として終わらせること。
過度な感情を落ち着かせること。
段階を踏んで、少しずつ、向き合ってきている。
脳内の誤作動は、世代を超えて受け継がれるとしたら、私が今、事実を受け止め、脳内に受けた傷を治療、ケアしていくことは、未来の子孫の健康にもつながる。
まだまだ、自分の傷のケアは、始まったばかり。
これからも、ケアし続けるとともに、セラピストとして、この本や実体験で培ったものを私と同じように苦しむサバイバーたちのために活かしていきたいな。
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