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聞く力を伸ばす

11月からひと月かけて参加した「聞く力を伸ばす」 オンライン授業が今週最終回を迎えた。このオンライン授業は人類学者の磯野真穂さんが人類学の初心者のために開かれている講座で、初めてエスノグラフィックインタビューを実際に体験してみた。全5回の中でペアを組んだ方と2回に渡ってインタビューし合う時間も設けられていた。

この講座に参加したきっかけは磯野さんと哲学者の宮野真生子さんの往復書簡を読んだからだった。生と死、出会いと別れについて考えさせられる一冊だった。そして、がんの転移を体験しながら生きる宮野さんと磯野さんとの熱いやりとりに元気をもらった。ちょうどこの本を読んだ頃、タイトル通り、急に具合が悪くなり、高熱で倒れて1週間ほど寝込んだのが今年の9月の初め。そういう意味でも忘れられない一冊になった。

これまでも他のインタビュー講座や傾聴のトレーニングなど「聞くこと」や「聴くこと」を学ぶ機会を見つけては参加して来たけれど今回の講座では人類学的なインタビューの仕方を初めて学んで、いろいろ得ることがたくさんあった。

普段の仕事でお客さまのご相談をお預かりし、星を読み伝える中で私が話している時間だけでなく、お客さまのお話を聞く時間もけっこうある。そのときのご相談内容にもよるけれど、どちらかというとリーディングの際は傾聴的な聴き方になることが多い。今回はインタビューガイドを作成して自分からペアのお相手に対して質問を作り、自分から聞きにいくというやり方を教わった。最初はいつもと勝手が違う感じがして戸惑ったりもしたけれど、仕事とは違う何か新鮮な気持ちで人と対話する時間を過ごしてとても楽しかった。

インタビューの録音を聞きながら文字起こしをするのも久しぶり。耳を集中的に使って作業すると時々耳鳴りが起きる。今回も文字起こししながら耳がポポポっと鳴りかけて慌てて一休みした。何回やっても自分の声を自分で聞くのはこそばゆいというか、ついつい発してしまってる口癖、話し方や聞き方の癖にちょっと凹むけれど、その体験自体も学びだなと思い直す。

ちなみの今回のインタビューのテーマは「その人が仕事で大切にしていること」だった。インタビューしてもらう体験をとおして改めて星を読み伝えることを仕事にしてきて良かったと実感した。

そして迎えた最終回。これがこの講座のいちばんの醍醐味というか面白さだと思うんだけれど、インタビューした内容を各自が好きな表現方法でペアのお相手に届ける。スパイスカレー、漫才、ラジオ番組、生花!驚くほどいろんな表現があって、参加者の皆さん全員の作品を見てみたい、そんな気持ちになった。

私はお相手の方にメッセージカードを届けるような感じで一枚のボードにして発表し、お相手の方からは口頭でメッセージをいただいた。その中で「天職」という言葉で私の仕事を表現して下さり、私のイメージを「ラナンキュラス・ピンクバイカラー」というお花に例えて下さった。偶然、私もメッセージのボードにお花のイラストを入れていて、お互いにお花のイメージを共有していたのも面白かった。インタビューの際にお花が好きだという話題は出なかったと思う。言葉にせずとも伝わっていたんだな気付かされた。

何だか名残惜しくて、講座終了後のルームにも参加。インタビューのテーマは仕事についてだったけれど、仕事の現場では見れないようなその人の表情や表現にふれることもできた感じがする。

今回参加してみて新たなインタビューの手法を学ぶということだけでなく、自分自身の仕事観を省みるいいきっかけにもなった。如何に普段自分のバイアスで物事を見ているのかにも気づいたし、その体験はリーディングの際にも活かされていくと思う。

次回の開催も検討されているようなのでご興味のある方はぜひ。


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