教師を辞めたかった頃①

本校に転勤してきて、教員人生で初めて転職を真剣に考えました。教師という仕事は、それまで楽しくて、天職だと思っていたのに、です。一ヶ月我慢すればカネが降ってくる。半年我慢すればボーナスも降ってくる。ただカネのために、ただカネだけのために学校に行くようになっていました。

君たちとはカネがつないでるだけ、と言っちゃったこともあります。ま、そんなことを言っても、保護者に言いつけられ、学校にクレームが入らないほどの友好関係はありましたが。

僕は実家の飲食店を無償で手伝っているのですが、それで「学校の常識は社会の非常識」を日々痛感していました。

店では、一度でも不味い飯を出せば、客は二度と来てくれないでしょう。しかし、学校では、毎日不味い飯を生徒たちに食べさせても、翌日に生徒たちはやってきます。ここの緊張感のギャップに苦しみました。

店は、美味しいだけではダメ、オリジナリティがなくては。学校は、不味くてもオケ、オリジナリティなど不要。この差にも苦しみました。

そして、一番辛かったのは、生徒たちの反応でした。生徒たちが勉強するかどうかの基準は、テストに出るかどうか、提出するかどうか、その二つ。知的好奇心が、学年が上がるごとに下がり、テストと関係ない話は聞かず、提出しなくてもいいのならペンは動かず、多くの生徒が眠ってしまいました。

まだ珍しかったiPadとプロジェクターを導入してもダメ。

生徒たちは、打算的にしか学習をせず、圧をかける教師の言うことしか聞かない。

僕は自分の存在価値を感じることはできませんでした。まったく。

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