見出し画像

SS【足軽くん】♯毎週ショートショートnote

お題「戦国時代の自動操縦」

【足軽くん】(410文字)

「痛いのはいやじゃ」
「亡き大殿は勇猛果敢な御方でしたぞ」
「痛い思いをした上に討ち死にでは割に合わぬ」
 若殿は理系のインテリタイプ。家来の言葉は聞き流し、痛い思いをせずに済む方法を真剣に考えぬき、あるものを発明した。

「皆の者、これを見よ」
 若殿は家来たちに小さな箱を渡した。箱には取っ手のようなものが二本付いている。
「これは?」
「『足軽くん二十八号』の操縦箱じゃ」
 若殿が取っ手を動かすと、甲冑を身に着け竹刀を持った案山子が現れ、目にも止まらぬ速さで次々と家来たちを打ち負かした。

「これで痛い思いをせずに済む。戦国時代の自動操縦兵…それが『足軽くん二十八号』じゃ」
「殿!天才でござる!」
「天下取りも夢ではございませぬな!」

 しかし『足軽くん二十八号』の量産には莫大な費用がかかり、難渋するうちに隣国に攻め入られ、籠城したものの落城。

「無念じゃ…足軽くん二十八号、代わりに切腹せよ」
 若殿は逃げ、隣国は足軽くんの首を見て首をひねった。


おわり

(2023/11/13 作)

たらはかに様の11/12~11/18のイベントに参加させていただきました☆

またまた「なんやねーん」なお題でしたが、あのアニメがふと浮かびまして…。
子ども心にも、あんなフクザツな動きをたった二本のレバーでさせるなんてありえねぇと思いましたけれども(;・∀・)てっつじーん
若い方はご存知ないかもしれませんね……元ネタを。

おもしろい!と思っていただける記事があれば、サポートはありがたく受け取らせていただきます。創作活動のための心の糧とさせていただきます☆