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なにぶん嘘日記1/22『甘やかし』

少々クサクサする出来事があり、そのことがついつい頭に浮かんでしまうので、今日は一日、何も考えず、何もしないでいようと思った。
マイペースDayだ。

それなのに、ふとテーブルの上を片付け出した私。
ここ数日、少々散らかってきたので片付けなきゃーと思っていたけどできなかったのに。「何もしなくてもいい」と思った途端に手が自然に動いて片付け始めた。
結果的にはテーブルから広がって、その周辺もついでに軽く片付いた。
ふぅむ。おもしろいものだ。

次は音楽を聴きたくなって、大橋トリオのBESTを選ぶ。
穏やかな声。落ち着くメロディ。大好き♡
特に好きなのは『生まれた日』という歌。詞も素晴らしい。

ふんわりと癒されている時、家人からココアを所望された。しばし現実に戻る…。
それにしてもココアというものは、分量を正しく量って作るとちゃんと美味しくなるものだ。
居候のこびとに最初に作った時は薄いと文句を言われ、裏側の説明を見たら、「え?こんなに入れるの?」って思った。

「ikuちゃんは、大雑把だから…」
いつの間にか隣にいたこびとが、やれやれと首を振る。
「今は、ちゃんと作ってるじゃん」
「こびとも飲むから、作ってー」
「はいはい。でも今日は私、マイペースDayなんだからね」
「いつもじゃん」
「そうとも言うけどさ…。【とりわけ】マイペースDayなんだよ」
「ふぅん、こびとも【とりわけ】するー」

マネしたがりめー。
「じゃ、なにを【とりわけ】するのよ」
こびとは、しばし小さなアゴに小さな手を当てて考えている。
あー、こういう姿がやっぱりカワイイもんだから、つい甘やかして…。

その時、こびとは何かを察したかのように言った。
「うん。今日はこびとを【とりわけ】甘やかすー」
「自分で自分を?」
「うん。それもあるけど、ikuちゃんも甘やかしてくれていいんだよ」
こびとは、不自然にまぶたをパチパチさせながら上目遣いで私を見る。
あー、やられた。
でもたしかにいい案だね。自分を甘やかす、か。
「じゃあさ、【とりわけ】甘やかしあいっこしようよ」

私は出来上がったココアをこびとの前に置く。
「はい、極上濃厚ココアのできあがり~♡」
「うぇーい٩(๑•ㅂ•)۶」

「それ飲んだら次は私を甘やかしてよ」
こびとはちょっと面倒くさそうに、さっきとは違う意味あいの上目遣いで私を見る。
「…どうすればいいのー?」

うむ。聞かれると、意外と思いつかない…。
自分を甘やかすってどうすればいいんだろう?

こびとが再び「やれやれ」という感じで首を振っている。
「そんなこともわからないとはねぇ」
「じゃあ、まかせるから私を甘やかしてよ」
と、リクエストしてみる。

「じゃ、ikuちゃん寝ころんで」
言われて、日当たりのいい場所にマットレスを敷いて寝ころぶ。
こびとは、私のお腹の上にピョンと乗って小さな手でお腹をなでる。
「こびとの癒しのハンドパワーを送ってあげる。すぺしゃるだよ!」

頭を持ち上げてのぞき込むと、なにやら熱心になでているが何も感じない…。ちっちゃすぎ…。
まぁ、いいや。私は目を閉じた。
ポカポカと暖かい部屋で横になって、お腹からは小さなハンドパワーが流れ込んでくる(はず)。

もしかしたら、毎日何も考えず、何もしないことにしても大丈夫なんじゃないかな…。
それでも、今朝、テーブルが勝手に片付いたみたいになるんじゃないの?
ウトウトしかかった頭にそんな考えが浮かんだ。

「ねぇ、こびと?」
頭を持ち上げたら、こびとは既にお腹の上でクゥクゥ寝ていた。

マイペースなやつ……。


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※更新はきまぐれです。また、コメントいただいた場合、返信は居候の小人にさせますので失礼がありました場合はご容赦くださいませ。(だいたい「うぇーい」とか言って言葉使いもテキトーです)

※私の日記は表題通り『なにぶん嘘日記』です。百パーセント真実ではなく、半分、あるいは三分とか八分とかの嘘、すなわちフィクションが含まれるという意味と、「なにぶん嘘もありますのでどうぞよろしく」という意味の両方が含まれております。


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