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瓜生晩餐
2024年6月17日 02:16
三鷹にある自宅の一室で和弥は死んだ。タコ足配線用の延長コードで首とクローゼットパイプを結び、大量の睡眠導入剤を焼酎で服用し自殺した。遺体が警察に引き渡されたのは自殺実行から推定三日後の朝で、梢江が第一発見者だった。糞尿を垂れ流し、虫が湧いた状態の和弥を警察へ通報した梢江は事情聴取を兼ねて警察署へ同行し、数時間後に重要関係者として僕が、それから芳乃家の両親が三鷹警察署へと呼び出された。和弥の遺体は
2024年7月31日 03:58
駅前のコンビニでカップ酒を購入し、赤坂の夜桜を楽しみながら家まで回り道をした。春の赤坂サカスには十一種類、およそ百本に及ぶ桜が植えられており、ビル街の光りに照らされた桃色と夜景のハイライトは、若者から中年層の男女に人気があった。僕は貧臭い清酒を舐めながら、紅枝垂やソメイヨシノ、寒緋桜の美しさにひとり見惚れていた。五月上旬に咲く兼六園菊桜まで、この街は色とりどりの花に包まれる。既に店で焼酎をたらふ
2024年8月2日 17:45
市内の桜も見頃を迎え、満開と呼ぶべき絢爛さに彩られた四月のこと。幼少期の僕が放課後の溜まり場として時間を費やした地元の総合公園で、僕は瑠菜と村上の間にお邪魔し、三人で花見をしていた。この一年で睡眠障害を克服した僕は健康を取り戻し、血尿や眩暈も収まって、念願だったアルコールを無理なく摂取できる状態にまで回復した。肌艶にハリが戻って、やつれた身体に多少の肉がのったことを瑠菜は大いに喜んでくれた。それ