もっと早く誉めてあげればよかった

2歳の子供の話。

ママチャリの後ろに乗せようとすると嫌がり、「自分で自分で」と言って自力でよじのぼる。
早くして欲しいやら危ないやらで、お尻や足に手を添え補助すると怒られる。
毎回である。

ようやくのぼって、サドルにまたがってふざけたと思うとおりる…を繰り返され、時間がない時は正直いらいらする。

「早くのぼって」
「サドルは危ないから」
「間に合わないよ」
「後ろに乗ってよ」
「次が最後だからね」

徐々に語気を強めながら急かし、最後は無理やり羽交い締めにして後ろの座席に乗せてベルトをする。
ひどい時は出走までに20分以上かかるので、だんだんママチャリ移動が憂鬱になってきていた。

ある日のことだ。
仕事が休みで気持ちも時間も余裕があった。いつもどおり我が子は自力でママチャリによじのぼり、サドルにまたがってバランスを撮りながら私に満面の笑みを向けてきた。

「おーすごいね。」

気持ちの余裕からか、何故かいつもと違うセリフをかなりてきとうに口走った。

しかし、とたんに我が子は再び満面の笑みを私に向け、後ろの座席に移動して座ってくれたのだ。
ベルトを締めながら顔を覗き込むと、本当に満たされた顔をしていた。

急かさず、羽交い締めにせず乗ってくれたことに感動するとともに、

(本当に申し訳ない)

と思った。

我が子の活発さに慣れすぎて、いつも注意してばかりだったが、よく考えれば1人で自転車によじのぼれるなんて大したものだ。


本当に、毎回よく頑張ってきたと思う。
もっと早く誉めてあげればよかった。

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